子供の性被害：無罪判決から逆転有罪へ、司法の課題と希望

子供の性被害は、社会全体で取り組むべき深刻な問題です。被害を受けた子供たちの心に深い傷を残すだけでなく、その後の成長にも大きな影を落とす可能性があります。この記事では、ある少女の性被害事件を通して、司法の現状と課題、そして希望について探っていきます。

無罪判決の衝撃：なぜ少女の声は届かなかったのか？

2017年、12歳の少女が実の父親から性的虐待を受けていたとして、父親が起訴されました。少女は児童相談所の職員に自ら被害を告白し、小学5年生の冬頃から頻繁に性的虐待を受けていたと具体的に説明していました。

児童相談所イメージ

しかし、2019年の静岡地裁での一審判決は無罪でした。裁判長は「被害者の証言は信用できない」「家族が誰も被害者の声に気づけなかったのは不自然」と判断しました。少女には軽度知的障害があったため、証言の信ぴょう性が疑問視されたのです。

この判決は、被害を受けた少女にとって大きな打撃となったでしょう。勇気を出して声を上げたにもかかわらず、その声が届かなかったという事実は、新たなトラウマとなる可能性も否定できません。

逆転有罪：希望の光と残された課題

しかし、2020年の東京高裁での二審では、父親に懲役7年の判決が言い渡されました。裁判長は「証言内容は、実際に被害に遭った者でなければ語りえない、高度の具体性、迫真性を備えている」と評価し、知的障害についても「証言が変遷していると捉えるのは不合理」としました。

この逆転有罪は、性被害を受けた子供たちにとって希望の光となるでしょう。司法が子供の証言に真摯に耳を傾け、公正な判断を下したことは高く評価されるべきです。

子供の証言の重要性とチャイルドアドボカシーの必要性

この事件は、性被害事件における子供の証言の重要性を改めて示しました。証言の解釈次第で加害者が無罪放免となる可能性がある以上、子供の証言を適切に評価するための仕組みづくりが不可欠です。

日本では、チャイルドアドボカシーの導入が求められています。子供の権利擁護の専門家であるチャイルドアドボケイトは、子供の視点に立って、司法手続きにおける子供の権利を守ることができます。成長・発達段階に合わせた聴取方法や、子供への心理的サポートを提供することで、より正確で信頼性の高い証言を得ることが可能となるでしょう。