人生100年時代と言われる現代、親世代から子世代への資産の承継はますます重要なテーマとなっています。70歳で4000万円の貯蓄を持つ親が「使い切れないから」と生前贈与を申し出てくれる、そんな喜ばしい状況でも、贈与税や相続税、贈与の時期など、様々な角度から検討する必要があります。この記事では、生前贈与を受ける際の注意点や賢い受け取り方について、わかりやすく解説します。
生前贈与とは？贈与税がかからない範囲は？
そもそも生前贈与とは、生きている間に自分の財産を誰かに無償で譲り渡すことです。贈与を受けた側には贈与税、贈与した側には相続税の節税効果が期待できます。ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があり、この範囲内であれば贈与税はかかりません。例えば、毎年110万円ずつ贈与を受ければ、非課税で財産を受け継ぐことができます。
親子でお金の話をしている様子
さらに、相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までは贈与税がかかりません。ただし、この制度は一度選択すると暦年課税に戻すことができないため、将来の相続も含めた長期的な視点で検討する必要があります。ファイナンシャルプランナーの佐藤恵氏（仮名）は、「贈与を受ける際には、将来のライフプランを踏まえ、どの制度が最適か慎重に判断することが重要です」とアドバイスしています。
生前贈与を受ける際の注意点：持ち戻し期間と相続税の基礎控除
生前贈与を受ける際には、いくつかの注意点があります。まず、「持ち戻し期間」の存在です。これは、贈与者が亡くなった場合、亡くなった日から7年以内に贈与された財産は相続財産に持ち戻され、相続税の課税対象となる期間のことです。つまり、贈与を受けても、贈与者が7年以内に亡くなると、相続税の計算に含まれてしまう可能性があります。
また、相続税には基礎控除があるため、相続財産が基礎控除額以下であれば、そもそも相続税はかかりません。基礎控除額は「3,000万円＋（法定相続人の数×600万円）」で計算されます。例えば、法定相続人が2人であれば、基礎控除額は4,200万円となります。今回のケースでは、相続財産が4,000万円なので、相続人が2人以上いれば相続税は発生しません。
4000万円の生前贈与、どう受け取れば良い？専門家の見解
今回のケースでは、相続人が1人であれば、400万円に対して相続税がかかる可能性がありますが、税率は10%なので、相続税額は最大でも40万円です。相続税専門の税理士、田中一郎氏（仮名）は、「4,000万円の相続財産であれば、相続税の負担は大きくないと考えられます。無理に生前贈与で節税を考えるよりも、贈与された資金を有効活用する方法を検討する方が重要です」と述べています。（出典：国税庁 令和5年度相続税および贈与税の税制改正のあらまし）
まとめ：生前贈与は長期的な視点で賢く活用しよう
生前贈与は、相続税対策として有効な手段ですが、持ち戻し期間や相続税の基礎控除などを考慮し、長期的な視点で計画を立てることが重要です。贈与された資金をどのように活用するか、将来のライフプランも踏まえ、専門家と相談しながら最適な方法を選択しましょう。親からの贈与は、将来への大きな支えとなる貴重な財産です。感謝の気持ちを忘れずに、大切に活用していきましょう。
