かつて一世を風靡した名車たちが、時代の波に呑まれ、表舞台から姿を消していく。栄光と衰退の物語は、自動車業界の盛衰を映し出す鏡とも言えるでしょう。今回は、日産を代表する2車種、マーチとレパードJ.フェリーに焦点を当て、その栄枯盛衰を紐解いていきます。
コンパクトカーの代名詞、マーチの栄光と突然の終焉
エントリーカーとして人気を博したマーチの歴史
1982年のデビュー以来、日産のエントリーカーとして、幅広い層から支持を集めてきたマーチ。扱いやすいサイズ、優れた経済性、そして合理的な設計が、多くのユーザーの心を掴みました。
初代マーチ
4代目マーチ、エコカーとして登場するも…
2010年に登場した4代目マーチは、「エコマーチ」のキャッチフレーズを掲げ、低燃費を追求したモデルでした。新開発の1.2リッター直3エンジン、世界初の副変速機付きCVT、アイドリングストップ機能など、当時の最新技術が惜しみなく投入されました。
エクステリアは、丸みを帯びたヘッドライトやアーチ型のサイドウィンドウなど、歴代マーチのデザインDNAを継承。インテリアも、ツインバブル形状のインパネを採用し、ユニークで安心感のある空間を演出していました。
ライバルの台頭、そして国内販売の終了
デビュー当初は順調な販売を見せていた4代目マーチでしたが、販売台数は徐々に減少。その背景には、先に登場したノートの人気に加え、軽自動車市場の拡大、そしてコストダウンの影響による質感の低下などが挙げられます。自動車評論家の山田太郎氏も、「4代目マーチは、コストダウンの影響が顕著で、ユーザーの期待に応えられなかった」と指摘しています。（※架空の人物によるコメント）
結果として、マーチは国内販売を終了。かつてコンパクトカーの代名詞として君臨した名車の終焉は、多くのファンに衝撃を与えました。
高級路線への転換が裏目に？レパードJ.フェリーの挑戦と挫折
スペシャリティクーペとして人気を博したレパード
2代目レパードは、トヨタ・ソアラのライバルとして、高級スペシャリティクーペ市場で人気を博しました。「あぶない刑事」での活躍も記憶に新しいところです。
4ドアセダンへと変貌を遂げたレパードJ.フェリー
しかし、3代目となるレパードJ.フェリーは、4ドアセダンへと大胆な路線変更を敢行。Y32セドリック/グロリアのシャシーをベースに、日産デザインインターナショナルが手掛けた英国風デザインのボディを組み合わせた、個性的なモデルでした。
インテリアには、ウォールナットの本木目パネルやイタリア製本革シート（オプション）を採用。エンジンは、3リッターV6に加え、シーマと同じ4.1リッターV8も搭載するなど、高級車としての風格を備えていました。
国内市場での不振、そして短命に終わったモデルライフ
北米市場では「インフィニティJ30」として販売され、高い評価を得ていましたが、国内市場では受け入れられず、販売は低迷。フルモデルチェンジの目安とされる4年を待たずして、生産終了となりました。自動車ジャーナリストの佐藤花子氏は、「レパードJ.フェリーは、高級路線への転換が裏目に出てしまった典型的な例と言えるでしょう」と分析しています。（※架空の人物によるコメント）
時代の変化とともに、ユーザーのニーズも多様化しています。マーチとレパードJ.フェリーは、その変化に対応できなかった悲運の名車と言えるかもしれません。
