百貨店は売り上げ増
高市早苗首相の「存立危機事態」答弁があってから1カ月余り、日中間の緊張はますますエスカレートしている。12月6日には公海上空で、中国の戦闘機が自衛隊機にレーダー照射を行うという“戦闘一歩手前”の事態が発生。すでに中国政府は、中国国民に日本への渡航自粛を要請しており、実際、関西国際空港発着の中国便は12月に入って3割も減っている。
日本政府観光局に聞くと、
「11月分の訪日観光客に関するデータは12月17日に発表する予定です(取材時)。その後の12月分は年明けになる。中国からの観光客がどれぐらい減るのか、私たちも情報を収集していますが、現時点では何とも言えません」(調査・マーケティンググループの担当者)
中国からの訪日客は全体の23%(2025年1〜8月)を占める。インバウンド関連ビジネスも大きな打撃を受けているのか。
そこで、上場しているインバウンド銘柄の月次情報を調べてみる。まず、中国人が大好きな高級百貨店を運営する三越伊勢丹ホールディングス。傘下の株式会社三越伊勢丹は新宿本店と日本橋本店が堅調で、11月の売り上げが前年比で1.4%伸びているという。また、「大丸」と「松坂屋」を運営するJ・フロントリテイリングの免税売り上げ(11月)は、対前年比で13.6%もの大幅増だった。
1泊6000円台
宿泊関連はどうだろう。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏によると、
「中国からの観光客が減っている影響で、すでに関西や名古屋のホテルでは、去年より安いところが出ています」
たしかに宿泊検索サイトで検索してみると、年末(クリスマス後)でも2人で1万円を切るホテルがある。
「例えば、京都ではアパホテルなど1泊6000円台で予約できるところが出ています。同ホテルは、需要に合わせて宿泊料金を大きく動かす“ダイナミックプライシング”を採用していますから、その時の値段によって、どれだけ観光客が予約しているか分かりやすいのです」(同)
また、同じホテルチェーンでも中国人観光客への依存度が大きい施設と、それほどでもない施設とでは、値段に大きな差が出るという。
「普段、中国人客の利用率が3〜4割以上のホテルだと、予約は壊滅的で安くなっているでしょう。現在、もっとも大変なのは民泊です」(同)
そこで民泊サイトを調べると、同じ年末の時期で、定価の半額以下という宿がずらりと出てくるではないか。
今年の暮れはこのチャンスを生かしてみては?
「週刊新潮」2025年12月18日号 掲載
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