読書好きなら誰もが経験する「積ん読」。読みたい本が山積みになっているのに、なかなか手が付けられない… この現象は日本だけでなく世界共通のようです。スペイン紙「エル・パイス」でも「Tsundoku」として紹介され、注目を集めています。今回は、積ん読の心理やその対策について、専門家の見解を交えて解説します。
積ん読の心理:なぜ本は増えていくのか?
カタルーニャ・オベルタ大学(UOC)の心理学・教育学研究のモンセラット・ラカジェ教授によると、積ん読には大きく分けて二つの心理的要因があるそうです。
購入による満足感
一つ目は、本を購入するという行為自体がもたらす満足感です。素敵な表紙、魅力的なあらすじ…本屋で心惹かれる本に出会うと、つい「買っちゃおう」となる気持ち、分かりますよね。実は、この購入行為自体が、まるで既に読んだかのような、知識を得たかのような錯覚を与え、満足感につながるのです。
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完璧主義と先延ばし
二つ目は、先延ばしの習慣です。「いつかじっくり読もう」「最適な環境で読みたい」という思いが、逆に読書のハードルを上げてしまい、結果的に後回しになってしまうのです。ラカジェ教授は、「完璧主義が先延ばしにつながる」と指摘しています。
積ん読の悪循環:罪悪感と更なる購入
「読まなきゃ」という罪悪感を抱えながらも、新しい本を買ってしまう…これも積ん読の典型的なパターンです。ラカジェ教授は、これは「解決策を間違ったところに求める悪循環」だと説明します。本来なら、読書時間を確保するなど行動を変えるべきなのに、現状を正当化する言い訳を作り、更なる購入で一時的な満足感を得ようとしてしまうのです。
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積ん読解消への第一歩
積ん読を解消するには、まず自分の読書習慣や心理的要因を理解することが大切です。「なぜ本を買ってしまうのか」「なぜ読めないのか」を自問自答してみましょう。そして、完璧主義を手放し、1日5分でも良いので、気軽に読書を始めてみることをおすすめします。小さな一歩が、大きな変化につながるはずです。