幼児へのキスで失明の悲劇:ヘルペス感染のリスクと予防策

幼い子供への愛情表現としてのキス。しかし、それが思わぬ悲劇につながる可能性があることをご存知でしょうか。今回は、イギリスで起きたある痛ましい事例を通して、幼児へのキスによるヘルペス感染リスクと、私たちが取るべき予防策について詳しく解説します。

キスで失明、1歳4ヶ月のジュワンちゃんのケース

2024年8月、ナミビア出身のミシェル・サイモンさんの1歳4ヶ月の息子、ジュワンちゃんの左目が充血しました。当初は軽い結膜炎と思われましたが、病院での診断結果は衝撃的なものでした。ジュワンちゃんは単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染し、その結果、左目の視力を失ってしまったのです。

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医師によると、口の中にヘルペスウイルスを持つ誰かがジュワンちゃんの顔にキスをしたことが感染原因と推測されます。ジュワンちゃんの両親はウイルス保有者ではなかったため、第三者からの感染が濃厚です。

幸いにも感染は脳やもう片方の目には広がっていません。ジュワンちゃんは羊膜移植手術を受け、まもなく足の神経を目に移植する手術を受ける予定です。手術が成功すれば、視力回復の可能性も残されています。

ミシェルさんは「誰かが悪意を持ってしたことではないと思いますが、子供にとっては本当に過酷な体験です」と語り、注意を呼びかけています。

幼児のヘルペス感染リスク:免疫システムの未熟さが原因

専門家によると、乳幼児の免疫システムは未発達なため、大人にとっては些細な感染症でも重症化しやすい傾向があります。特にヘルペスウイルスは感染力が強く、キスや接触によって容易に感染します。

レスター大学のプリムロス・フリーストーン教授(臨床微生物学)は、「乳幼児はヘルペスウイルスなど様々な病原菌に感染しやすい。顔へのキスは避け、どうしてもキスをする場合は足や後頭部にするのが安全です」と助言しています。

新生児はさらに危険!免疫力の低さと大人の無知

新生児の免疫システムはさらに弱く、ヘルペスだけでなく、連鎖球菌、大腸菌、肺炎球菌など様々な感染症のリスクに晒されています。特に生後3ヶ月以内は免疫細胞が不足しており、感染が急速に進行する可能性があります。

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しかし、英国のチャリティー団体「子守歌トラスト」の調査によると、妊産婦の54%が感染リスクを十分に理解しておらず、家族や友人が新生児にキスすることを許可していることが明らかになりました。

大切な子供を守るために:具体的な予防策

専門家は、乳幼児を持つ親は他人が子供にキスしたり触ったりしないように伝えるべきだと強調しています。また、乳幼児のいる家を訪問する際は、必ず手を洗い、感染症の症状がある場合は訪問を控えるべきです。

家庭でできる予防策

  • 家族や親戚に、赤ちゃんへのキスを控えるようお願いする
  • 赤ちゃんに触れる前には必ず石鹸で手を洗う
  • 口唇ヘルペスの症状がある場合は、赤ちゃんとの接触を避ける
  • 赤ちゃんの身の回りの衛生管理を徹底する

ジュワンちゃんのケースは、私たちに幼児の感染症リスクと予防の重要性を改めて認識させてくれます。大切な子供たちを守るために、正しい知識を持ち、適切な行動を心がけましょう。