富裕層の消費動向、投資先、そして彼らが真に求めているものとは一体何でしょうか? 本記事では、変わりゆく富裕層の価値観を探り、最新のトレンドをご紹介します。近年の地政学リスクの高まりや社会不安、そして健康意識の高まりが、彼らの消費行動にどのような影響を与えているのか、紐解いていきましょう。
富裕層の消費:百貨店外商で高級車やエルメス
景気減速が叫ばれる中でも、富裕層の消費は堅調です。百貨店外商は売上高の約半分を富裕層が占めており、その購買力は衰えることを知りません。 元三越百貨店外商担当で経営コンサルタントの鈴木一正氏によると、富裕層は外商を通して、店頭では入手困難なポルシェやフェラーリといった高級車や、入手困難なエルメスのバーキンなどを購入しているとのこと。特にバーキンは、エルメスの担当者と繋がり、年間数百万円以上の購入実績がなければ入手できない希少性から、外商員を通して購入ルートを確保しようとする富裕層が後を絶たないそうです。
エルメスのバーキン
安全への希求:核シェルターの需要が高まる
地政学リスクの高まりを受け、富裕層の間で安全への意識が高まっています。核シェルター導入の問い合わせが急増しているという現状は、まさにその表れでしょう。海外の富裕層移住先として人気のスイスやシンガポールでは核シェルターが広く普及していますが、日本ではまだ一般的ではありません。この状況に危機感を抱く富裕層が増えていると、危機管理コンサルタントの小林氏は指摘しています。 また、近年社会問題となっている強盗事件も、核シェルターへの需要を後押ししています。万一の際に家族の安全を守れるという安心感は、富裕層にとって大きな価値を持つと言えるでしょう。
健康への投資:アンチエイジングと高級人間ドック
富裕層は健康にも惜しみなく投資しています。「いつまでも若々しくいたい」という願いを叶えるアンチエイジングは、富裕層にとって重要なテーマです。プライバシー保護に配慮した会員制の高級人間ドックは人気が高く、高精度な画像診断機器や専門医による迅速な対応など、質の高い医療サービスを提供しています。例えば、オリックスが2023年に設立した「セントラルメディカルクラブ世田谷」では、PET-CT検査など最新鋭の検査機器を導入し、96項目にも及ぶきめ細かい検査で、早期発見・早期治療を実現しています。
富裕層を取り巻く競争激化
富裕層のニーズは多様化し、彼らをターゲットとしたビジネスの競争は激化しています。安全、健康、そしてステータスシンボル。これらのキーワードを軸に、富裕層の消費動向は今後も変化していくでしょう。 富裕層の価値観の変化は、社会全体のトレンドを先取りしているとも言えます。彼らの動向を注視することで、未来の消費トレンドが見えてくるかもしれません。