ゴーストレストラン、皆さんはご存知でしょうか?実店舗を持たず、デリバリー専門で営業する飲食店のことです。コロナ禍で一気に広まり、私たちの食生活にも大きな変化をもたらしました。今回は、そのゴーストレストランの現状と、コロナ禍後の変化について詳しく見ていきましょう。
ゴーストレストランとは?その誕生と急成長
ゴーストレストランは、実体のない、まるで幽霊のような存在。実店舗を持たないため、固定費を抑え、効率的に運営できるのが特徴です。2019年頃から登場し始め、コロナ禍の外出自粛によって一気に需要が高まりました。
コロナ禍初期、ゴーストレストランの需要が急増。写真はイメージです。
当時、多くの飲食店がデリバリーサービスに参入しましたが、ゴーストレストランはすでにデリバリーに特化していたため、一歩リードしていました。美味しそうな料理写真、使いやすい注文画面など、そのノウハウは他の飲食店にとって大きなアドバンテージでした。緊急事態宣言下では、私も配達員としてゴーストレストランから商品を受け取る機会が急増したのを覚えています。
ゴーストレストランの進化と専用ビルの登場
2021年には、リモートワークの普及により空室が増えたオフィスビルを丸ごとゴーストレストランにした事例も現れました。「〇〇ビル3階G区画へ商品を受け取りに来てください」といった指示が配達員用アプリに表示されるようになり、ゴーストレストランの存在感が増していきました。
さらに、ゴーストレストラン専用のビルも建設されるようになりました。1階には配達員の駐輪場、壁には大きな液晶モニターが設置され、注文番号と受け取り場所が表示されるなど、効率的なシステムが構築されていました。まるで近未来の飲食店のようでした。
コロナ禍後のゴーストレストラン:衰退の兆し
しかし、2023年5月にコロナが5類感染症に移行すると、状況は一変。人々は再び飲食店に足を運ぶようになり、ゴーストレストランの需要は減少しました。私もゴーストレストランへの配達依頼が激減したことを実感しています。
先日、久しぶりにゴーストレストランビルからの配達依頼を受け、行ってみると、以前あった液晶モニターは撤去され、直接店舗へ行く方式に戻っていました。さらに、ビルの他のフロアを見ると、多くの店舗が閉店しているようでした。
コロナ禍後のゴーストレストラン。テナントが撤退し、別のサービスが入居するケースも。写真はイメージです。
そして、駐輪場の一部がシェアサイクルのポートになっていたことにも驚きました。おそらくテナント収入の減少を補うための対策でしょう。フードデリバリー専門家である山田一郎氏(仮名)は、「コロナ禍で急成長したゴーストレストランは、市場の変化に柔軟に対応していく必要がある」と指摘しています。
ゴーストレストランの未来
ゴーストレストランは、コロナ禍という特殊な状況下で大きく成長しました。しかし、その後の需要減少は、飲食業界の競争の激しさを改めて示しています。ゴーストレストランが生き残っていくためには、新たな戦略、例えば、独自のメニュー開発、地域密着型のサービス提供、他業種とのコラボレーションなどが求められるでしょう。今後のゴーストレストランの動向に注目です。