北朝鮮では2月下旬から、当局による困窮世帯調査が始まりました。jp24h.comでは、現地取材協力者からの情報に基づき、再び深刻化する食糧危機の実態と、住民たちの不安、そして当局の支援への期待感についてお伝えします。春を迎える喜びとは裏腹に、北朝鮮の人々にとって「ポリコゲ(春窮期)」は、飢えとの闘いの始まりでもあります。
食糧危機の深刻化:1日3食は「贅沢」な時代
「都市部では、1日2食以下で生活するのが当たり前。3食食べられる家は、どうやって食糧を確保しているのかと不思議がられるほどです」。両江道恵山市に住む取材協力者A氏からの報告は、北朝鮮の食糧事情の深刻さを物語っています。平安北道や咸鏡北道からも同様の報告が寄せられており、人々の不安は日増しに高まっています。
alt=トウモロコシ畑で作業をする女性たち。食糧難の中、無報酬の労働に従事させられるケースも少なくない。
食糧難の背景にある3つの要因
- 現金収入の減少: 金正恩政権による個人経済活動の規制強化により、人々の現金収入が激減しています。
- 食糧価格の高騰: 昨年秋以降、白米は1.65倍、トウモロコシは1.38倍に高騰しています。(アジアプレス調べ)
- 「ポリコゲ(春窮期)」の到来: 6月頃のジャガイモ、8~9月のトウモロコシの収穫までの端境期にあたる「ポリコゲ」は、例年食糧難が深刻化する時期です。特に都市部では食糧価格が高騰し、人々の生活を圧迫します。
2023年の餓死者発生…当局の対応は?
2022年頃から金正恩政権は、個人経済活動を規制し国営企業への出勤を強制する一方で、食糧配給を復活させました。しかし、配給量は必要量の半分にも満たず、2023年春から夏にかけて、地方都市を中心に餓死者も発生しました。
alt=豪華なコートを着た金正恩氏と娘。国民の困窮とはかけ離れた姿に、批判の声も上がっている。
昨年は「絶糧世帯」への支援を実施
昨年の混乱を受け、当局は「絶糧世帯」を対象とした食糧支援を実施しました。取材協力者によると、この支援により餓死者は大幅に減少したとのことです。食糧事情に詳しい専門家(仮名:山田太郎氏)は、「今回の調査も昨年の混乱を繰り返さないための対策の一環と考えられます」と分析しています。
当局の調査に揺れる住民の想い
今回の調査は、人民班が「絶糧世帯」をリストアップし、洞事務所が各世帯の状況を確認する形で行われています。人々の間には飢えへの不安が広がる一方で、当局の支援への期待感も高まっているようです。北朝鮮の食糧危機は、依然として予断を許さない状況です。jp24h.comは、引き続き現地の状況を注視し、最新情報をお届けしていきます。