【医者が教える】うつ、血圧、腰痛に効く「すごすぎる習慣」とは?


● うつ、血圧、腰痛に効く「すごすぎる習慣」とは?

 近年、「マインドフルネス」という概念が大きな注目を集めています。

 目を閉じて自分の呼吸に集中し、浮かんでくる雑念を追い払ったり、歩きながら体の感覚に集中して他のことは考えないようにしたりと、「普段の生活の中で意識しない部分に集中する」という方法が一般的となっています。

 逆に、朝起きて、朝食を食べて、歯を磨いてといったルーティンは無意識のうちに行われるので、これを「マインドレスネス」と呼びます。

 マインドフルネスに本当に健康効果はあるのでしょうか。実はこういった自己集中法については既に多くの研究が行われ、論文化されています。多くの研究でマインドフルネスや瞑想についてはおおむねポジティブな結果が出ています。

 まず、うつ病の再発予防に関してですが、マインドフルネスを用いることで、再発リスクを34%減少させたという論文が出ています(※1)。またメンタル不調のない人に対しても、ストレス軽減に役立つだろうという結果も出ています(※2)。

 血圧を下げる効果も出ている

 さらには「血圧」にさえもよい影響を及ぼす可能性があり、瞑想を行うことで収縮期血圧(上の血圧の値)がおよそ4mmHgも下がったという研究結果も存在します(※3)。

 原理に関してははっきりしていないものの、ストレス負荷を下げることで副腎という臓器から分泌される「コルチゾール」というホルモンの分泌量が抑えられている、という仮説もあります。血圧を下げるのはなかなか難しいので、瞑想だけで血圧が下がったというのは驚きの結果です。

 さらには「腰痛」に対しても効果が示されています。マインドフルネス瞑想とヨガを日々の習慣にとり入れた人たちは、そうでない人に比べて約10%腰痛の改善率が上がったというデータがあります。効果も1年近く持続することが示されており、腰痛にも非常に有効な方法と言えます(※4)。

 こういった結果をもとに、アメリカではマインドフルネスは「医療行為」として扱われています。また、グーグルなどの大企業では社内研修の一部にとり入れられており、確かな市民権を得ています。

 マインドフルネスは5分から10分程度実践するのが有効と言われていますが、繰り返し口を酸っぱくして言いたいのが「最も大事なのは習慣化すること」です。

 朝起きたとき、寝る前、通勤中など、1日1分でもいいので楽に続けられる形で継続してみましょう。

 ・通勤中、自分が「歩いている」行為に意識を向け、他のことは考えないようにする
・起きて3分間は、座って自分の呼吸にだけ意識を集中する

 このようなやり方でマインドフルネスをとり入れてみてはいかがでしょうか。

【出典】 ※1 Jacob Piet,et al. The effect of mindfulness based cognitive therapy for prevention of relapse in recurrent major depressive disorder: a systematic review and meta analysis. Clin Psychol Rev. 2011 Aug;31(6):1032 40.
※2 Alberto Chiesa,et al. Mindfulness based stress reduction for stress management in healthy people: a review and meta analysis. J Altern Complement Med. 2009 May;15(5):593 600.
※3 Z Bai,et al. Investigating the effect of transcendental meditation on blood pressure: a systematic review and meta analysis. J Hum Hypertens. 2015 Nov;29(11):653 62.
※4 Cherkin DC ,et al.Eff ect of Mindfulness Based Stress Reduction vs Cognitive Behavioral Therapy or Usual Care on Back Pain and Functional Limitations in Adults with C h ronic Low Back Pain:A Randomized Clinical Trial. JAMA 315:1240 1249,2016

 (本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を抜粋・編集したものです)

森勇磨



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