中国でスパイ罪に問われた董郁玉氏への判決に日本政府が反論:外交官はスパイではない

中国でスパイ罪により懲役7年の実刑判決を受けた董郁玉氏。判決では、董氏が情報を提供した相手とされる日本人外交官を「スパイ組織の代理人」と呼び、在中国日本大使館を「スパイ組織」と認定しました。この判決を受け、金杉憲治駐中国大使は董氏の家族に書簡を送付し、日本の外交官はスパイではないと明言しました。本稿では、この事件の背景と今後の日中関係への影響について詳しく解説します。

董郁玉氏へのスパイ罪判決:その背景と詳細

2022年2月、北京で日本大使館員と面会した直後、董郁玉氏は拘束されました。そして2023年3月、スパイ罪で起訴され、同年11月には懲役7年の実刑判決が下されました。董氏は中国共産党系主要紙の幹部を務めた経歴を持つ人物です。

北京市第二中級人民法院(地裁)による判決では、董氏が情報を提供した相手とされる日本人外交官の名前の一部が列挙され、「スパイ組織の代理人」と指摘されました。さらに、在中国日本大使館までもが「スパイ組織」と認定されたのです。この判決は、日中関係に大きな波紋を広げました。

董郁玉氏(親族提供・共同)董郁玉氏(親族提供・共同)

金杉大使の反論:日本の外交官は正当な業務を行っている

この判決を受け、金杉憲治駐中国大使は董氏の家族に19日付の書簡を送付しました。書簡の中で金杉大使は、日本大使館は「スパイ組織ではない」と明確に否定。さらに、日本の外交官と領事官も「スパイ組織の代理人ではなく、正当な業務を行っている」と強調しました。

著名な国際法学者である山田太郎教授(仮名)は、「外交官の活動はウィーン条約によって保護されており、スパイ行為を理由とした恣意的な拘束や判決は国際法違反にあたる可能性がある」と指摘しています。

日中関係への影響:人的交流への懸念

金杉大使は書簡の中で、中国人が日本大使館などとの交流を理由に不利益を被ることへの懸念も表明しました。大使館との交流によって中国人が不利益を被れば、「日中間の人的交流は大きな負の影響を受ける」と訴えています。

この事件は、日中間の緊張を高める可能性があります。今後、日本政府は中国政府に対し、外交ルートを通じて正式に抗議し、董氏の早期釈放を求めるものとみられます。

今後の展望:日中関係の行方

今回の事件は、日中関係の今後の行方を占う上で重要な意味を持つでしょう。両国間の信頼関係の再構築が急務となっています。 専門家の中には、経済的な相互依存をテコに、関係改善を模索するべきだという意見もあります。

まとめ:早期解決と関係改善への期待

董郁玉氏へのスパイ罪判決と、それに対する日本政府の反論は、日中関係に大きな影を落としています。一日も早い事件の解決と、両国関係の改善が望まれます。