斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県の第三者委員会が斎藤氏のパワハラを認定した。県議会の調査特別委員会(百条委員会)も一部の行為を「パワハラ行為と言っても過言ではない」と指摘したが、斎藤氏は「ハラスメントは最終的には司法の場で判断される」との主張を崩していない。ただ、司法判断を仰がずとも、ハラスメントを認定し処分する例は自治体や企業では珍しくない。兵庫県も例外ではなく、斎藤氏は改めて説明が必要となりそうだ。
【ひと目でわかる】第三者委が認定した斎藤知事の主なパワハラ行為
今回、斎藤氏のパワハラを認定した第三者委は元裁判官の弁護士ら6人で構成。法律などを踏まえ、各行為を詳細に分析してパワハラに該当するかを判断した。
自治体や民間企業ではここまでの手順を踏まずとも、厚生労働省の指針などに照らし、内部調査の結果、ハラスメントを認定して処分することは一般的。兵庫県でもそうした例はあるが、公務員の懲戒処分を定める地方公務員法は一般職が対象で、首長や議員などの特別職は適用外だ。
首長は自身の不祥事に対し、辞職や給与カットなど自主的な対応を取ることが多く、昨年もパワハラなどが認定された愛知県東郷町長が辞職している。
パワハラに詳しい東北大の増沢隆太特任教授は、「元裁判官がプロの力で調査しており、非常に客観的で説得力のある内容だ」と第三者委の調査結果を評価。斎藤氏について、「客観性のある調査結果が出た以上、政治家としての倫理観、責任感を持って判断することが求められる」と指摘している。(兵庫県知事問題取材班)