和牛の受精卵と精液の流出事件で、中国へ不正に輸出されると知りながら受精卵などを譲り渡したとして、家畜伝染病予防法違反幇助(ほうじょ)罪などに問われた徳島県吉野川市の元牧場経営、松平哲幸被告(70)の初公判が13日、大阪地裁(増田啓祐裁判長)で開かれ、「間違っておりません」と起訴内容を大筋で認めた。被告は和牛の遺伝情報の流出元とされる。
起訴状によると、被告は昨年6月、氏名不詳者から473万円を受け取り、輸出に必要な証明書などを付けないまま保管用ストローに注入した受精卵と精液計365本を指示役の日本人の男に譲り渡し、29日に運搬役の日本人の男が中国に不正に輸出することを幇助したとしている。
受精卵と精液は大阪・南港発、中国・上海行きのフェリーで持ち込まれたが、中国の税関の検査で発見された。
事件をめぐって大阪地裁は6月、運搬役と指示役の男2人に同法違反罪などでそれぞれ有罪判決を言い渡し、確定している。