防衛大学校卒業式で、一組の双子姉妹がひときわ輝きを放っていました。三重県出身の前岨悠菜さんと悠華さん。ともに22歳。卒業後はそれぞれ海上自衛隊、航空自衛隊へと進む道を選び、将来の夢は護衛艦長と戦闘機パイロットという大きな目標を掲げています。今回は、そんな二人の絆と、未来への熱い想いに迫ります。
東日本大震災をきっかけに芽生えた自衛官への憧れ
alt 海上自衛隊と航空自衛隊の制服を着用した前岨悠菜さん（左）と悠華さん（右）
進学校である県立四日市高校から防衛大学校へと進学した二人。姉の悠菜さんは東日本大震災での自衛隊の献身的な救助活動に感銘を受け、自衛官を志すように。防衛大学校は第一志望でした。一方、妹の悠華さんは医学部を目指していましたが、合格には至らず。姉の背中を追うように防衛大学校への入学を決意したのです。「姉が防衛大学校で充実した学生生活を送る姿を想像したら、自分も一緒に学びたいという気持ちが抑えられなかった」と悠華さんは語ります。自衛隊とは縁のなかった両親も、二人の決断を後押ししました。
海上自衛隊と航空自衛隊、それぞれの道へ
当初は二人とも航空自衛隊を希望していましたが、2年生に進級する際に、悠菜さんは海上要員、悠華さんは航空要員に。悠菜さんは進路に迷い、退校も考えたそうですが、夏の研修で訪れた海上自衛隊幹部候補生学校で、歴史を感じさせる重厚な建物とそこで学ぶ先輩たちの姿に心を打たれ、「海上自衛隊も良いかもしれない。ここで頑張ろう」と決意を新たにしたといいます。
ホッケー部での活躍と、開校祭での熱い戦い
防衛大学校での生活の中で、二人にとって特に思い出深いのはホッケー部での活動です。2023年秋季関東学生リーグでは見事2部から1部へ昇格。さらに、昨年秋にはインカレに出場し、前年優勝の立命館大学と対戦しました。結果は敗北でしたが、「一番楽しい試合だった」（悠菜さん）、「姉の頑張る姿を見て、自分も集中できた」（悠華さん）と、互いを支え合い、高め合う貴重な経験となりました。
また、昨年11月の開校祭では、初めて女子競技として行われた「棒引き」で、悠菜さんは第三大隊、悠華さんは第一大隊の総長（責任者）として、それぞれ30人を率いて対戦。結果は1勝1敗1分けで、得点差で悠華さんが率いる第一大隊が優勝。「本当に嬉しかった」と悠華さんは笑顔で当時を振り返ります。
未来へ、護衛艦長と戦闘機パイロットを目指して
防衛大学校を卒業し、それぞれの道へと進む二人。悠菜さんは護衛艦長、悠華さんは戦闘機パイロットという大きな夢に向かって、新たな一歩を踏み出します。いつか、悠菜さんが艦長を務める護衛艦から、悠華さんが操縦する戦闘機が発艦する日が来るかもしれません。二人の今後の活躍に期待が膨らみます。
