医療・介護が必要な方も旅行を楽しめる!高松「Hotel QOL瓦町」誕生秘話

高松市に、医療や介護の支援を受けながら宿泊できる、画期的なホテル「Hotel QOL瓦町」がオープンしました。この記事では、その誕生秘話から、ホテルの特徴、そしてユニバーサルツーリズムの未来について探っていきます。

ある女性の願いがホテル誕生のきっかけに

訪問看護ステーション「Qちゃん」を運営する中村千明社長は、患者様と深く向き合う中で、ある末期がんの40代女性との出会いから大きな転機を迎えます。寝たきりの状態だった女性は、「家族と旅行をして思い出を作りたい」という切実な願いを抱いていました。しかし、医療ケアが必要な旅行を受け入れてくれる施設は見つかりにくく、中村さんは奔走することになります。

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やっとの思いでホテルを見つけ、女性は家族旅行を実現。しかし、この経験を通して中村さんは、医療ケアが必要な人々が旅行を楽しむことの難しさ、そしてそのニーズの大きさを痛感しました。その後も、屋島へのドライブや思い出の漁港での釣りなど、患者様たちのささやかな願いを叶えるサポートを続ける中で、「今できることは今しておかないと間に合わない」という強い思いが芽生え、自らホテルを開業することを決意したのです。

バリアフリーと24時間医療介護体制を実現した「Hotel QOL瓦町」

2024年夏、高松市の繁華街近くに土地を取得し、クラウドファンディングも活用して資金を調達。ついに「Hotel QOL瓦町」が誕生しました。全5室のバリアフリー設計で、最大6名まで宿泊可能な広々とした客室は、家族での滞在にも最適です。

介助者と一緒に入れる広々とした浴室やトイレ、衣服の汚れにも対応できる乾燥機付き洗濯機など、きめ細やかな配慮が行き届いています。さらに、各部屋にはキッチンも完備。嚥下機能が低下した方にも美味しく召し上がっていただけるスイーツや、とろみ付き日本酒なども提供しています。

安心と快適さを追求したサービス

「Hotel QOL瓦町」最大の特徴は、24時間体制の医療・介護サービスです。事前に綿密な打ち合わせを行い、病状に合わせた旅行プランを提案。当日は「Qちゃん」の看護師が対応し、訪問診療医や総合病院との連携により、万が一の場合にも迅速な対応が可能です。

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「患者さんやご家族に、良い時間が過ごせたと思ってもらいたい」という中村さんの思いが込められたこのホテルは、単なる宿泊施設を超え、患者様の最後の願いを叶え、家族の思い出づくりを支えるかけがえのない場所となっています。

ユニバーサルツーリズムの先駆けとなるか?

国が推進するユニバーサルツーリズム。誰もが安心して旅行を楽しめる社会の実現に向けて、「Hotel QOL瓦町」の取り組みは大きな一歩となるでしょう。四国運輸局観光企画課も「先進的な取り組み」と高く評価しています。

「心のバリアフリー」認定制度の普及とともに、医療・介護ニーズへの対応も進むことで、真に誰もが旅行を楽しめる社会が実現することを期待します。「Hotel QOL瓦町」は、その先駆けとなる存在と言えるでしょう。

思い出を紡ぐ旅へ

「Hotel QOL瓦町」は、医療・介護が必要な方だけでなく、一般の方の利用も可能です。宿泊費は1泊1万円程度で、支援内容に応じて別料金が発生します。お問い合わせはQOL社(087-899-7770)まで。大切な人と、かけがえのない時間を過ごす旅に出かけてみませんか?