公務員といえば安定した職業というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし近年、国家公務員のなり手不足が深刻化しているという現状をご存知でしょうか。今回は、国家公務員のなり手不足解消に向けた新たな動きについて詳しく解説します。
人事院諮問会議が提言を発表!その内容は?
2024年3月24日、人事院の「人事行政諮問会議」が国家公務員のなり手不足解消に向けた提言を発表しました。その中で特に注目されているのが、民間企業に見劣りしない給与水準の必要性です。現在の給与改定の仕組みを見直し、民間企業と比較する際には、規模の大きい企業を対象とするよう求めています。
人事院諮問会議の様子
一般的に、企業規模が大きいほど給与は高くなる傾向があります。もしこの提言が実現すれば、国家公務員の給与の底上げにつながる可能性があります。人事院は今後、具体策の検討を進めるとしています。
従来の給与制度と課題点
人事院は毎年、民間給与を調査し、国家公務員の給与やボーナスと水準が釣り合う形で改定を勧告しています。かつては従業員100人以上の企業を調査対象としていましたが、2006年、公務員の厚遇批判を受け、従業員50人以上の企業にまで範囲を広げました。
しかし、この変更が結果的に国家公務員の給与水準の低下を招き、なり手不足の一因になったと指摘されています。特に、政策の企画立案を担う本省職員の給与は、民間企業の同等の職種と比較して低い水準にとどまっているのが現状です。
大企業との比較で給与水準底上げへ
今回の提言では、2025年度をめどに調査対象を少なくとも従業員100人以上の企業に戻す必要があると明記しています。さらに、本省職員については、1000人以上の企業と比較すべきだとしています。
人事行政に詳しい専門家A氏(仮名)は、「従業員規模だけでなく、採用で競合する職種を特定し、比較する手法を検討することも重要です。例えば、データサイエンティストやAIエンジニアといった専門性の高い職種は、大企業との給与格差が特に大きいため、より綿密な比較が必要となるでしょう」と述べています。
管理職の給与水準の乖離も課題
提言では、管理職の給与についても、民間企業との水準が大きく乖離していることを指摘し、「引き上げが必要」と明記しています。管理職の待遇改善は、組織全体の活性化にもつながる重要な要素と言えるでしょう。
今後の展望
今回の提言は、国家公務員の待遇改善に向けた大きな一歩となる可能性を秘めています。給与水準の見直しによって、優秀な人材を確保し、質の高い行政サービスを提供できる体制を構築することが期待されます。今後の動向に注目が集まっています。