11月14日金曜日の午後5時過ぎ、新聞社やテレビ局が一斉に速報を流しました。農林水産省の発表によると、全国のスーパーで販売されているコメ5キロの平均価格が11月3日から9日の週に4316円に達し、過去最高を更新したとのことです。これまでの最高価格は5月12日から18日の週の平均4285円でした。この記録的なコメ価格高騰は、日本の消費者にとって深刻な影響を与えています。
異常な米価高騰の経緯
そもそも米価の高騰は昨年の夏から秋にかけて始まりましたが、今年2月3日から9日の週の平均価格は5キロ3829円でした。当時、世論からは「コメが高い」「店にコメがない」といった強い抗議の声が上がっていましたが、現在の4316円という価格を見ると、当時はまだ安かったと感じてしまうほどです。
消費者がコメの異常な高騰に本格的に苦しめられ始めたのは3月以降です。価格は急速に上昇し、たちまち平均価格は4000円を突破。5月末には4223円に達しました。6月には当時の小泉進次郎農水相が随意契約で備蓄米を“放出”する措置を取り、平均価格は一時的に下落に転じ、7月28日から8月3日には5キロ3542円まで下がりました。
しかし、“小泉米”の効果は長くは続きませんでした。9月に入ると再び4000円台に突入し、猛スピードで価格が上昇、今回の最高価格4316円に至りました。農水省の発表資料によると、銘柄米の平均価格は5キロ4573円、ブレンド米は3732円とされています。しかし、都市部に住む消費者からは「近所のスーパーでは、もっと高い」という声が多数聞かれます。都心のスーパーでは、ブレンド米が店頭に並ぶこと自体が稀で、銘柄米も4800円から5500円が主流であり、6000円台も珍しくありません。
「日本人の主食はパスタ」悲鳴を上げる家計
コメのコーナーには高額な新米が並ぶものの、多くの消費者は見向きもしない状況です。一部のスーパーでは、カリフォルニア米や台湾米、中国米が売り切れた跡の空きスペースが見られることもあります。最近では、SNS上で「日本人の主食はコメではなく、パスタになってしまった」という悲鳴にも似た投稿が増加しています。
この背景には、コメ価格の高騰だけでなく、実質賃金の下落が大きく関係しています。厚生労働省が11月6日に発表した「毎月勤労統計調査」の9月速報値では、実質賃金が前年同月比で1.4%の減少となり、これで9カ月連続のマイナスを記録しました。賃金自体は上昇しているものの、物価上昇には追いついていないのが現状です。
もはや食費が家計を圧迫しているのは、貧困家庭に限った話ではありません。あらゆる商品が値上がりしているため、夫婦共働きの中流家庭でさえ、5キロ5000円のコメを購入することは容易ではありません。SNSに投稿された「金曜はカレーライスの日ではなく、パスタの日になった」という言葉は、庶民の困窮が進み、国産のコメが高級品になりつつあるという日本の食料問題の深刻な現実を浮き彫りにしています。
鈴木憲和農水相
結論
今回のコメ価格の過去最高更新は、単なる物価上昇に留まらず、多くの日本人の食生活と家計に深刻な影響を与えています。実質賃金の下落が続く中で、主食であるコメが高嶺の花となり、食卓の「パスタ化」が進む現状は、政府と社会全体が早急に取り組むべき課題を示唆しています。消費者からは、安定した食料供給と価格の適正化を求める声がますます高まることでしょう。





