韓国ウォンが24日、1ドル=1470ウォン目前まで下落しました。来月のトランプ前米大統領による相互関税施行を控え、韓国経済への影響が懸念されています。さらに、国内政局の不安定さもウォン安に拍車をかけています。一体何が起きているのでしょうか?この記事では、ウォン安の現状と今後の見通しについて詳しく解説します。
ウォン安の現状:1ドル1470ウォン目前
24日のソウル外国為替市場で、ウォン相場は前営業日比5ウォン安の1ドル=1467.70ウォンで取引を終えました。1ヶ月前には1427.40ウォンまで上昇していたため、わずか1ヶ月で2.8%もの急落です。この急激なウォン安の背景には、一体何があるのでしょうか?
相互関税の影
ウォン下落のスピードが加速している大きな要因として、トランプ前米大統領が予告した「スーパー関税」への懸念が挙げられます。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、来月2日に発動される相互関税の対象は、特定の品目ではなく、米国に対して継続的な貿易黒字を計上している「ダーティー15」と呼ばれる国々に焦点が当てられる見通しです。韓国もその候補に含まれており、市場の不安感を増幅させています。
韓国ウォン紙幣
相互関税が発動されれば、貿易摩擦の激化は避けられません。フランスはすでに、米国が欧州に相互関税を課す場合には強力な報復措置を取ると警告しています。こうした国際的な緊張の高まりも、ウォン安を加速させる一因となっています。
主要通貨に対するウォン安
ウォン安の深刻さを示すもう一つの指標は、主要通貨に対するウォンの下落傾向です。ユーロや人民元は対ドルで上昇している一方、ウォンだけが下落傾向を強めています。これは、韓国国内の政局不安が影響しているという見方があります。
政局不安の影響
今週は韓国政界にとって重要なイベントが目白押しです。24日には韓悳洙首相の弾劾審判が宣告され、26日には野党「共に民主党」の李在明代表の控訴審宣告が予定されています。さらに、尹錫悦大統領に対する憲法裁判所の弾劾審判も控えており、政局の行方は不透明な状況です。
市場心理の悪化
これらの政治的イベントは、市場心理を悪化させています。弾劾棄却が伝えられた24日にも、外国為替市場は大きく揺れ動きました。韓首相の弾劾審判結果が出た午前11時ごろ、ウォン相場は一時1ドル=1469.10ウォンまで下落しました。市場専門家は、「韓首相の棄却決定をめぐる政界の解釈が入り乱れていることや、尹大統領の弾劾審判の遅延などが、内外投資家の不安を高めている」と指摘しています。
韓国の国会
韓国の信用リスクの高まりを示す指標である国債5年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムも上昇傾向にあります。iM証券のパク・サンヒョンエコノミストは、「米国の相互関税の圧力と弾劾関連の不確実性が重なり、当面はウォン安傾向が続くと予想される」と述べています。
今後の見通し
金融当局は、政治的不確実性と経済は切り離して運用するとの立場を示しています。しかし、市場の不安は払拭されておらず、今後のウォン相場の動向に注目が集まっています。
韓国経済の先行きは、米国の貿易政策や国内政局の動向に大きく左右されることになりそうです。今後の展開から目が離せません。