韓国山火事、死者24人に 世界遺産にも迫る炎、文化財焼失の悲劇

韓国南東部で発生した大規模な山火事は、甚大な被害をもたらし続けています。26日夕方の時点で、死者数は24人に達し、その多くは逃げ遅れた高齢者とみられています。多くの住宅が全焼し、貴重な文化財にも被害が及んでいる現状です。さらに、朝鮮王朝時代の街並みが残る世界遺産「安東河回村」にも火の手が迫り、関係者を不安にさせています。

乾燥と強風、同時多発的な山火事の発生

韓国では、乾燥した空気と強風が重なり、21日から各地で山火事が同時多発的に発生しました。中でも、22日に発生した慶尚北道の火災の被害は深刻で、多くの住民が犠牲となっています。聯合ニュースによると、安東市では25日夜、70代の女性が自宅の庭で死亡しているのが発見されました。煙を吸い込んで窒息死したとみられています。また、青松郡では25日夜に60代の女性が焼死体で発見されました。これらの地域を含め、1市3郡で26日夕までに計19人の死亡が確認されています。

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慶尚南道では、22日に発生した火災の消火活動中に消防隊員ら4人が死亡しました。さらに、26日午後には上空から消火活動を行っていたヘリコプターが墜落し、操縦士の死亡が確認されました。この事故を受け、消防当局はヘリコプターによる消火活動を中断しました。

被災面積はソウル市の約6割、文化財にも被害

被災面積は韓国全体で首都ソウル市の約6割に当たる3万7000ヘクタールに達しています。消防や軍などが懸命の消火活動を行っていますが、未だ収束の兆しは見えていません。

当局は被災地の住民に避難を呼びかけており、2万7000人以上が避難しています。法務省は26日、被災地の刑務所から受刑者ら約500人を他の施設に避難させたと発表しました。残りの約3000人も移送される予定です。

文化財への被害も深刻です。25日には、新羅王朝時代の7世紀に創建されたとされる孤雲寺が全焼し、同寺にある国指定文化財の延寿殿と駕雲楼も焼失しました。人気ドラマのロケ地として知られる朝鮮王朝時代の建物「晩休亭」も全焼しました。

世界遺産への影響、深刻な事態に

安東市には、安東河回村の他に、教育施設「屏山書院」などの世界遺産があります。国家遺産庁は25日、文化財の危機を呼びかける警報で、4段階で最も厳しい「深刻」を初めて発令しました。「韓国料理研究家協会」の代表、キム・スンヨン氏は、「歴史的建造物の焼失は、韓国の文化遺産にとって計り知れない損失です。一日も早い鎮火と復興を願っています」と語っています。

被害の拡大が懸念される中、今後の対応が注目されています。