楽天モバイルの通信回線が生成AIを悪用したプログラムで不正契約され、その回線を利用した詐欺事件が再び発生しました。今回は、コンサートチケット販売を偽装し、電子決済サービス「PayPay」で代金を騙し取ったとして、都内在住の高校生ら3人が逮捕されました。巧妙化する若年層のサイバー犯罪の実態に迫ります。
楽天モバイル不正契約事件、新たな展開
警視庁は、生成AIを悪用したプログラムで楽天モバイルの通信回線を不正契約し、それを利用して電子決済サービス「PayPay」でチケット代金を詐取したとして、15歳から18歳の中高生3人を詐欺容疑で逮捕しました。今回の事件は、同様の手口で摘発された2つの少年グループに続く、3例目となります。不正に契約された回線が拡散し、様々な犯罪に悪用されている実態が明らかになってきました。
警視庁の画像
コンサートチケット詐欺の手口
捜査関係者によると、逮捕された3人は、2023年1月から9月にかけて、X(旧Twitter)上で「コンサートチケットを売る」と虚偽の書き込みを行い、不正に入手した楽天モバイルの回線をPayPayに登録し、女性9人から合計約30万円を騙し取った疑いが持たれています。3人は容疑を認め、「オンラインカジノに使った」と供述しているとのことです。逮捕は2024年3月3日から18日にかけて行われました。
拡散する不正回線、摘発続く
今回悪用された回線は、2024年2月に逮捕された滋賀県米原市の中学3年生ら3人が、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて売却したものでした。都内の高校生らは、別のSNSを通じてこの回線を購入したとされています。
東京地検は2024年3月25日、米原市の中学生グループの一員で、回線の売却役だった東京都立川市の中学3年生を、不正アクセス禁止法違反などの非行事実で東京家裁に送致しました。セキュリティ専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「生成AIを使った犯罪は高度化しており、若年層の関与も深刻な問題です。通信事業者と連携した対策強化が急務です」と警鐘を鳴らしています。
生成AI悪用犯罪の脅威と対策
今回の事件は、生成AIを悪用したサイバー犯罪の巧妙化と、不正アクセスによる被害の深刻さを改めて浮き彫りにしました。若年層の加害者も増加しており、社会全体で対策を講じる必要があります。保護者や教育機関は、インターネットの安全な利用方法を指導し、犯罪への加担を防ぐための教育を強化する必要があるでしょう。また、通信事業者もセキュリティ対策を強化し、不正アクセスを防ぐための取り組みを継続していくことが求められます。