米誌アトランティックの報道を受け、トランプ政権高官による欧州同盟国への不信感が露呈し、波紋を広げている。誤ってメディア関係者に送信されたSNSメッセージから、その衝撃的な内容が明らかになった。
フーシ派攻撃計画をめぐる誤送信メッセージ
事の発端は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派への攻撃計画に関するグループチャットへの誤送信だ。米軍の攻撃作戦に関する詳細情報が、アトランティック誌の編集者に誤って共有されてしまった。このチャットには、ペンス副大統領、エスパー国防長官、ポンペオ国務長官、ラトクリフ国家情報長官など、政権高官が名を連ねていた。
alt: イエメンのフーシ派への攻撃に関する作戦会議の様子
攻撃実行のわずか2時間前には、使用される兵器や標的といった詳細情報がチャットで共有されていた。攻撃後には、ウォルツ国家安全保障担当補佐官が「最初の標的――ミサイル最高指揮官――がガールフレンドの建物に入ったのを確認。今やその建物は崩壊した」と報告し、ペンス副大統領が「素晴らしい」と返信する場面も見られた。
欧州への蔑視:同盟国への不信感
しかし、最も注目を集めたのは、攻撃決定前にペンス副大統領とエスパー国防長官が交わしたメッセージだ。「またヨーロッパの尻拭いをするのは本当にうんざりだ」「ヨーロッパの寄生虫には心の底から嫌気がさしている」といった言葉が飛び交い、欧州同盟国への強い不信感が露呈した。
紅海の航路安全確保のためのフーシ派攻撃は、西欧諸国の利益にも繋がるものだ。にもかかわらず、米国高官からは「尻拭い」「寄生虫」といった蔑称が飛び出し、欧州諸国に衝撃を与えた。
専門家の見解
国際政治アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「今回のメッセージ流出は、トランプ政権における『アメリカ・ファースト』主義の行き過ぎた一面を示すものだ」と指摘する。「同盟国との協調を軽視する姿勢は、国際社会におけるアメリカの孤立を深める可能性がある」と警鐘を鳴らす。
欧州メディアの反応:怒りと懸念
BBCニュースは「米高官のチャットの欧州蔑視はEUを恐怖に陥れる」と報道。英紙ザ・テレグラフも「トランプのホワイトハウスはなぜこうも欧州を憎むのか」と疑問を呈した。英国の大衆紙デイリースターは、ペンス副大統領を「世界で最も危険な男」と呼び、その欧州嫌悪を強く批判した。
ペンス副大統領は2025年2月にミュンヘン安全保障会議で、欧州の最大の脅威はロシアや中国ではなく、進歩的な価値観だと批判していた。今回のメッセージ流出は、彼の欧州嫌悪を改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。
日米関係への影響は?
今回の件は、欧米関係だけでなく、日米関係にも影を落とす可能性がある。日本も同盟国として、米国の動向を注視していく必要があるだろう。 今後の展開が注目される。
まとめ
今回のメッセージ流出は、米政権内部における欧州同盟国への不信感を白日の下にさらした。機密情報の漏洩という点だけでなく、同盟国間の亀裂を深める可能性もある深刻な問題だ。今後の米国の外交政策、そして国際社会への影響を慎重に見守る必要がある。