機内持ち込みモバイルバッテリーの規制強化:安全対策最前線

近年、スマートフォンやタブレットなど電子機器の普及に伴い、モバイルバッテリーは旅行の必需品となっています。しかし、リチウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーの発火事故が相次いでいることを受け、アジアの航空会社を中心に機内持ち込みに関する規制が強化されています。この記事では、モバイルバッテリーの安全な取り扱い方、そして航空会社による最新の規制について詳しく解説します。

モバイルバッテリー発火事故の現状

韓国では、エアプサンの旅客機内で発生した火災の原因がモバイルバッテリーの可能性があると発表されました。調査委員会によると、モバイルバッテリーの残骸から複数の電気溶融痕が確認されたとのことです。米連邦航空局(FAA)も過去20年間で、リチウム電池関連の機内事故を500件以上記録しています。これらの事故は、製造上の欠陥、誤った使用方法、経年劣化などが原因と考えられています。

モバイルバッテリーの発火事故イメージモバイルバッテリーの発火事故イメージ

各航空会社の対応

モバイルバッテリーによる事故リスクの高まりを受け、多くの航空会社が機内持ち込みに関する規定を改定しています。

韓国の航空会社

韓国では、全国的な規制として、モバイルバッテリーや電子たばこの頭上の手荷物収納棚への保管を禁止しています。乗客はシートポケットや座席の下に収納することが義務付けられています。また、機内での充電も禁止されています。

タイ国際航空

タイ国際航空は、機内でのモバイルバッテリーの使用と充電を全面的に禁止しました。これは、「モバイルバッテリー使用との関連が疑われる国際線機内での火災事故」を受けた措置です。

シンガポール航空

シンガポール航空も、モバイルバッテリーを使用した機内での電子機器の充電を禁止しています。機内のUSBポートでの充電も認められていません。

エアアジア

エアアジアは、モバイルバッテリーを座席の下かシートポケットに収納することを求めています。また、フライト中の携帯電子機器の充電も禁止しています。

台湾の航空会社

エバー航空、中華航空、ユニー航空など台湾の航空会社も、機内での携帯用充電器の使用を禁止しています。

モバイルバッテリーの安全な使い方

ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)のクリスタル・チャン准教授は、「リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、比較的低コストであるため、モバイルバッテリーに広く利用されている」と述べています。しかし、その利便性と引き換えに、発火の危険性も伴います。

チャン准教授は、長距離フライト中にモバイルバッテリーが不可欠なビジネス旅行者や、携帯端末に頼る人々にとって、機内での使用禁止は大きな不便になると指摘しています。空港の充電設備が不足している現状では、モバイルバッテリーへの依存度は高く、安全な使用と規制のバランスが重要です。

旅行前にモバイルバッテリーの状態を確認し、劣化している場合は交換しましょう。また、正規メーカーの製品を使用し、過充電や高温多湿の環境を避けるなど、適切な使用方法を心がけることが大切です。

まとめ

モバイルバッテリーは、現代社会において欠かせないアイテムですが、安全な使用を心がける必要があります。航空会社の規制を遵守し、正しい使用方法を理解することで、安全で快適な空の旅を楽しみましょう。