新潟県糸魚川市にある旧姫川病院。かつて地域医療を支えたこの病院は、閉院から18年が経ち、今や廃墟と化し、心霊スポットとして名を馳せています。無断侵入や迷惑行為が後を絶たず、地域住民の不安は募るばかりです。なぜこのような事態に至ったのか、そして市の対応はどうなっているのか、現状を詳しく見ていきましょう。
旧姫川病院:心霊スポット化の背景
北アルプスの雄大な景色を望む新潟県糸魚川市。しかし、大野地区にある旧姫川病院の現状は、美しい景観とは対照的なものです。閉院後、放置された建物は荒れ果て、心霊スポットとして若者を中心に注目を集めています。
糸魚川市の旧姫川病院の外観。廃墟と化している様子がわかる。
近隣住民からは、騒音や落書き、不審火など、迷惑行為に悩まされているという声が上がっています。「夜中に大きな音がして、またガラスが割られたのかと思う」「車椅子や点滴台が放置されている」といった証言からも、現状の深刻さが伺えます。
心霊スポットとしての拡散
インターネット上では、旧姫川病院を心霊スポットとして紹介する動画が多数投稿されています。中には、無断で病院内に侵入し、内部を撮影したと見られる動画も存在し、問題視されています。
ネット上に投稿された、旧姫川病院内部の様子。無断侵入による撮影と見られる。
実際に土地所有者の許可を得て敷地内に入ると、窓のブラインドにぶら下がった消火器、散乱する酒の空き缶やペットボトル、そして何者かが侵入した痕跡など、荒廃した現状を目の当たりにすることができます。
旧姫川病院敷地内の様子。散乱するゴミや不法侵入の痕跡が見られる。
破壊された入り口のガラス、散乱する椅子や固定電話、壁の落書きなど、かつて病院であった面影はほとんど残っていません。
破壊された入り口のガラスと、内部の荒廃した様子。落書きも多数見られる。
旧姫川病院の歴史と閉院の経緯
旧姫川病院は、公的な病院がなかった糸魚川地域において、市民の強い要望を受け、1987年に設立されました。資本金も市民からの出資によって賄われ、地域医療の要として大きな期待を寄せられていました。
しかし、慢性的な医師不足と経営難により、2007年に閉院。20年の歴史に幕を閉じました。
糸魚川市大野地区の元区長、新井春雄氏。旧姫川病院への思いを語る。
かつて地域医療を支えた病院が、今では心霊スポットと化している現状に、地元住民は複雑な思いを抱えています。大野地区の元区長、新井春雄氏は、「病院設立当時は地域にとって大きな喜びであっただけに、現状は切ない」と語っています。
今後の課題と展望
旧姫川病院の現状は、放置された建物の問題だけでなく、地域社会の安全やイメージにも影響を及ぼしています。今後の市の対応、そして地域住民との協力が不可欠です。建物の解体、跡地の活用など、具体的な対策が求められています。