闇金の帝王、2億円札束風呂の男―その栄光と転落

闇金の世界で巨万の富を築き、「闇金の帝王」と呼ばれた男、杉山治夫。2億円もの札束に浸かる写真がセンセーションを巻き起こし、その常軌を逸した金銭感覚は人々を驚愕させました。一体、彼はどのような人生を歩み、どのような最期を迎えたのでしょうか?今回は、写真家橋本昇氏の著書『追想の現場』(鉄人社/高木瑞穂編)を参考に、その栄枯盛衰に迫ります。

常軌を逸した金銭感覚と取り立て

杉山治夫の金への執着は、常軌を逸していました。借金取り立ては苛烈を極め、24時間体制で債務者を追い込み、時には暴力も辞さなかったといいます。橋本氏へのインタビューでは、「借金が返せないなら腎臓を売れ」と豪語し、フィリピン・マニラでの臓器売買への関与を示唆する発言も飛び出しました。「全国腎臓移植協力会」という謎の組織まで設立していたというから驚きです。

2億円札束風呂に浸かる闇金の帝王2億円札束風呂に浸かる闇金の帝王

暴力と脅迫、そして臓器売買

「鼓膜が破れるまで怒鳴り散らし、家を襲撃することもあった」―橋本氏に語った杉山の言葉は、闇金の世界の残酷さを物語っています。返済できない債務者には、マニラへ行き腎臓を売却することを強要していたという証言もあります。当時、臓器売買は社会問題化しており、杉山の関与は大きな波紋を呼びました。 食糧問題評論家の藤原氏(仮名)は、「臓器売買への関与は、倫理的に許されない行為であり、闇金ビジネスの闇の深さを示している」と指摘します。

栄光の影に潜む虚無感

橋本氏は、インタビューから半年後、新宿で偶然杉山とすれ違いました。取材時の傲慢な態度は消え、生気の抜けた表情をしていたといいます。2億円札束風呂の豪遊も、虚勢を張っていたのかもしれません。

逮捕と獄中死

2002年、杉山は詐欺罪で逮捕され、懲役7年6ヶ月の実刑判決を受けました。そして2009年、獄中で病死。享年71歳。波乱万丈の人生は、幕を閉じました。

闇に葬られた真実

杉山治夫の人生は、金への飽くなき欲望と、その果ての転落劇でした。闇金ビジネスの実態、臓器売買への関与など、多くの謎を残したまま、彼はこの世を去りました。その真実は、闇に葬られたままです。