自民「少数与党」政権、連立模索の行方:田﨑史郎氏が維新を最有力視する理由

政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は、20日の参院選で大敗し、衆参両院で少数与党に陥った自民党の今後の国会運営に注目が集まる中、野党との連立論について分析しました。特に、自民・公明両党の政権が窮地に立たされる中で、次なる政権運営を安定させるための鍵となる連立交渉の行方は、日本政治の大きな焦点となっています。田﨑氏は、複数の野党の中から、日本維新の会が最も連立の可能性が高い相手であるとの見解を示しています。

2025年7月に撮影された石破茂首相。参院選大敗後、少数与党となった自民党の連立政権の行方が注目される。2025年7月に撮影された石破茂首相。参院選大敗後、少数与党となった自民党の連立政権の行方が注目される。

参院選大敗で揺れる自公政権:連立論の背景

参議院選挙での自民・公明両党の歴史的敗北は、石破茂首相率いる現政権にとって、国会運営の抜本的な見直しを迫る事態となりました。これにより、衆参両院で安定した過半数を確保できなくなった自民党は、重要法案の成立や予算審議において、野党の協力が不可欠な「少数与党」の立場に追い込まれています。この状況下で、政権安定化のための選択肢として、立憲民主党、国民民主党、そして日本維新の会といった主要野党との「連立」の可能性が取り沙汰されています。

立憲民主党・国民民主党との連立は困難か?

テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で紹介された情報によれば、各野党の代表からは、自民党との連立に対して否定的な意見が出ています。立憲民主党の野田佳彦代表は「大連立はあり得ない」と明確に表明。田﨑氏も、立憲民主党は多くの選挙区で自民党と直接競合するため、連立を組むことは構造的に難しいと指摘しています。

一方、国民民主党の玉木雄一郎代表も「約束を守らない石破政権と協力することはない」と、連立に否定的な姿勢を見せています。しかし、田﨑氏は、玉木代表と自民党の茂木幹事長、麻生副総裁、岸田前首相らの間には良好な関係があることを指摘。自民党側が国民民主党との連携を模索する背景には、同党の背後にある4つの産別(労働組合)が持つ票への期待があるとしています。

ただし、自民党側には国民民主党への不信感が根強く存在すると田﨑氏は述べます。具体例として、昨年、与党と国民民主の3党幹事長間で合意された「年収103万円の壁」の178万円への引き上げや、ガソリン暫定税率の廃止に関する件が挙げられます。自民党側は、国民民主党が「時期を明確に合意していないにもかかわらず、約束したと主張するのは心外だ」との見解を示しており、この認識の齟齬が、両党間の信頼感を低下させている要因となっています。また、国民民主党幹部の一部からは、石破茂首相ではなく、もし高市早苗氏が総理総裁になった場合は「組める」との声も出ていると報じられましたが、田﨑氏はその真意については判断が難しいとしています。

日本維新の会が最も有力な連立候補とされる理由

これに対し、日本維新の会については、連立の可能性が最も高いと田﨑氏は分析しています。吉村洋文代表は当初、「憲法的価値観が違い、現時点において全然考えていない」と述べましたが、その直後の22日には「副首都構想」に向けた法案を自公政権に提案する意向を表明しました。

田﨑氏は、この「副首都構想」が維新と自公政権の連携を深める鍵となると見ています。議員間の「信頼」が政党の行動を左右すると強調し、自民党と国民民主党の間で信頼感が低い一方で、維新とは人脈があり、過去には「大阪都構想」実現のための法案作成で安倍政権と協力した実績があることを挙げました。

さらに、吉村代表が今回「副首都構想」を打ち出したタイミングについて、「これは自民、公明との協力がなければ成立しない。そういう意味で、維新は連立しやすい環境を自ら作り始めたのではないか」と解説。共通の政策目標達成に向けた戦略的連携の可能性が、日本維新の会を最有力な連立パートナー候補たらしめていると結論付けました。

結論

参院選大敗により少数与党となった自民党にとって、今後の国会運営は極めて厳しいものとなります。連立政権の模索は避けられない課題であり、その動向は日本政治の安定に直結します。田﨑史郎氏の分析によれば、立憲民主党や国民民主党との連立には課題が多い一方で、日本維新の会は「副首都構想」という共通の政策課題を通じて、自民党との連携、ひいては連立への道筋を開きつつあると見られます。政局の流動化が進む中、今後の各政党の動きと連携の行方が注目されます。


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