大阪市を廃止し、特別区に再編する大阪都構想をめぐり、制度移行後の新たな大阪府の組織概要案が14日分かった。府市で別々に行ってきた広域行政を府に一元化し、新たに消防庁やICT(情報通信技術)戦略を担う部署を設置。全体で20局前後にすることが検討されている。都市計画や住宅関係など、まだ機構案が固まっていない部門もあり、府市事務局で詳細を詰めた上で、都構想の制度案(協定書)を作る22日の法定協議会で素案を示す。
特別区に再編された場合、大阪市が担っていた都市基盤整備や交通、防災、観光などの広域行政機能は府に移管される。現行案では特別区に2503、府に428の事務が振り分けられることになっている。
関係者によると、新たな府の組織では、将来的な府内消防の一元化を目指して4千人規模の消防庁を設置。現状の危機管理室も局に格上げして、防災力の強化を図る。また府域水道事業の統合を目標にして水道局も設ける。
また吉村洋文知事が掲げる「スマートシティ」の実現に向け、ICTやAI(人工知能)を都市機能強化に反映させるスマートシティ戦略局を新設。このほか特別区連携局や経済労働局を置くことが検討されている。
現在の府組織は計12部局(府市共同の副首都推進局を除く)だが、都構想実現後は20局前後になる見込み。このほか教育庁などの組織体制はそのまま維持されるとみられる。
都構想は、広域行政を府に一元化し、教育や福祉など住民に身近な行政を特別区にゆだねることで、府市の「二重行政」の弊害をなくすことが最大の目的とされる。大阪維新の会幹部は「広域一元化のための局を設置していく」としている。