ブチャの虐殺から3年。いまだ身元が特定できない犠牲者が43名もいるという痛ましい現実が改めて浮き彫りになっています。今回は、ウクライナ紛争の爪痕が生々しく残るブチャの現状と、戦時下の身元確認の難しさについて掘り下げていきます。
ブチャの墓地に眠る43名の身元不明者
キーウ近郊のブチャ市。ロシア軍の一時占領下で多くの民間人が犠牲になったこの街では、いまだ43名の遺体が身元不明のまま墓地に埋葬されています。ブチャ市が共同通信に開示した文書によると、2022年2月24日の侵攻開始から同年3月末までの間に、1歳から100歳までの554人が死亡。そのうち396人がロシア軍に殺害され、158人が占領下での医療不足などにより命を落としたとされています。犠牲者の平均年齢は54歳でした。
altブチャの墓地:多数の十字架が並ぶ光景は、紛争の悲惨さを物語っています。
身元確認を阻む様々な要因
身元不明の43名の中には、「死の通り」として知られるヤブロンスカ通りで倒れていた男性や、捕虜となり森に埋められていた男性2人も含まれています。市当局は、「全員の身元を特定し、ロシアの戦争犯罪を立証したい」と強い意志を示しています。しかし、親族が国外に避難しているケースも多く、DNA鑑定による照合が困難な状況です。
戦時下の身元確認:困難を極める現実
紛争下での身元確認は、想像を絶するほど困難を極めます。記録の散逸、遺体の損傷、そして避難による親族との連絡の難しさなど、様々な要因が絡み合い、身元特定作業を阻んでいます。国際人道法の専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「紛争下では、身元確認のためのインフラが破壊され、専門家も不足しがちです。また、政治的な思惑も絡み、作業が難航することも少なくありません。」と指摘しています。
ブチャの悲劇を風化させないために
ブチャの悲劇は、決して風化させてはならない出来事です。一人でも多くの犠牲者の身元を特定し、遺族に closure をもたらすことは、国際社会の責務と言えるでしょう。また、このような悲劇を繰り返さないためにも、紛争解決と平和構築に向けた取り組みを強化していく必要があります。
ブチャ市当局は、引き続き身元確認作業を続けるとともに、国際社会への協力を呼びかけています。私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち続けることが、解決への第一歩となるのではないでしょうか。