【大阪たこ焼き値上げ騒動】変わらぬ味へのこだわり、9割減の売上でも信念貫く「たこ焼たこば」

大阪・東淀川区にある人気のたこ焼き店「たこ焼たこば」が、物価高騰を受けてたこ焼きの値上げに踏み切ったところ、客足が激減し、売上は9割減という厳しい状況に直面している。しかし、店主は「変わらぬ味」を守るという信念を貫き、注目を集めている。一体何が起きているのか、詳しく見ていこう。

値上げで客足激減、それでも揺るがない店主の信念

「たこ焼たこば」は、材料費や光熱費の高騰を受け、2025年4月1日からたこ焼き1個を80円から90円に値上げした。値上げ初日、店のX(旧Twitter)アカウントでは「正直にお伝えします。ほとんどのお客様に買っていただけませんでした」と投稿。売上は9割減となり、買ってくれた客はわずか3人だったという衝撃的な事実を明かした。

たこ焼きの写真たこ焼きの写真

しかし、店主は値上げの理由を「変わらぬ価格より変わらぬ味を選びます。それが信念であり、お客様との約束です」と説明。創業以来、材料も味も一切変えていないことを強調し、仕入れ値の上昇分を値上げに転嫁せざるを得ない状況を訴えた。

大阪たこ焼き界に残る「安い店が正義」の悪しき文化

店主は、Xの投稿で「大阪のたこ焼き界だけに残る悪しき文化『安い店が正義』。『駅前の方が安いで!』何回も言われました。正直悔しかった」と吐露。値上げに理解を示さない客からの心無い言葉に苦悩する様子を明かした。

たこ焼きの画像たこ焼きの画像

それでも、「でも自分の信念は絶対に曲げません。『変わらぬ味を子に孫に』。昔好きだった店に久しぶりに行ったら不味くなってる方が嫌だから」と、味へのこだわりを改めて宣言。この強い信念に、多くの共感の声が集まっている。

激安たこ焼きは不可能?店主が訴える現実

店主は取材に対し、過去の値上げでは客足が遠のくことはなかったが、今回は価格を見て買わずに帰る客がほとんどだったと説明。他店の方が安いと主張する客や、値上げ前の価格で売るよう要求する客もいたという。

店主は、価格を据え置けば、タコのサイズや種類が変わる、たこ焼き自体が小さくなる、材料が安価な海外産に変わる、容器が安価なものに変わるといった影響が出ると説明。「大阪ではまだまだ『たこ焼き=激安』のイメージが強く残っている」と指摘し、昭和時代の屋台営業や闇営業、シンプルな材料で作られていた時代と現在を比較すること自体がおかしいと主張した。

家賃、人件費、光熱費、税金などの支出を挙げ、「普通に商売していたら絶対に激安は不可能です。それを理解していただきたい」と訴えている。

味へのこだわりか、価格か?消費者に問われる選択

「たこ焼たこば」の店主は、厳しい状況下でも味へのこだわりを貫き、消費者に選択を迫っている。この騒動は、私たちに「食」の価値、そして価格と質のバランスについて改めて考えさせるきっかけとなるだろう。