不正請求や街路樹への除草剤散布など、数々の不祥事で世間を騒がせたビッグモーター。経営危機に陥った同社を買収し、再建に乗り出したのは大手商社、伊藤忠商事だ。ウィーカーズへと社名を変え、新たなスタートを切った同社の再生は、果たして成功するのか。伊藤忠の企業風土改革への取り組み、そして現場の社員たちの葛藤に迫る。
ビッグモーターという名の負の遺産を背負い、ウィーカーズはどのように未来を切り開こうとしているのか。本記事では、その再生への道のりを深く掘り下げ、新生ウィーカーズの現状と課題、そして伊藤忠の戦略に迫ります。
伊藤忠、難局に挑む:ウィーカーズ再生への軌跡
ウィーカーズの田中慎二郎社長
かつてビッグモーターは、「目標達成に必要な部下の生殺与奪権を幹部に与える」という、行き過ぎた成果主義を掲げていました。このワンマン体質ともいえる経営方針が、組織を蝕み、不正の温床となったことは想像に難くありません。自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「過度なノルマ設定と人事権の集中が、不正行為を誘発した可能性は否定できない」と指摘しています。
不正発覚後、中古車販売台数はピーク時の8割以上も減少し、深刻な赤字経営に陥ったビッグモーター。この窮地を救うべく名乗りを上げたのが、伊藤忠商事でした。2024年5月、ビッグモーターは伊藤忠傘下で再生を開始し、社名もウィーカーズへと変更。新たな船出を切ったのです。
社名変更だけでは変われない:現場の戸惑いと葛藤
ビッグモーター時代の販売実績ボード
買収から1ヶ月後の2024年6月、伊藤忠から送り込まれたウィーカーズの田中慎二郎社長は、全国の店舗視察を開始しました。かつてトップクラスの売上を誇った埼玉県の熊谷市の店舗も、客足はまばら。社名は変わっても、看板は未だ「ビッグモーター」のまま。店内には、社員の能力を数値化した「販売戦力」「買取戦力」といった指標が貼り出されたボードが残っていました。これは、行き過ぎた成果主義の象徴であり、田中社長は「ゲームじゃないんだから」と驚きを隠せませんでした。
約6000人いた社員の3分の1が退職し、残った社員は約4000人。彼らは「今まで絶対と思っていたものが、絶対じゃなかった」「何を信じればいいのかわからない」と、戸惑いと不安を口にします。過去の経営方針と不正行為によって失われた信頼を取り戻すことは、容易ではありません。
ビッグモーター買収後のウィーカーズの店舗
ウィーカーズは、過去の負の遺産を清算し、真摯な姿勢で顧客との信頼関係を再構築していく必要があります。伊藤忠の指導の下、企業風土改革は着実に進められているものの、真の再生にはまだ時間がかかるでしょう。今後のウィーカーズの動向に、引き続き注目が集まります。