米印貿易摩擦：インド、報復関税の可能性は低い？

米トランプ前大統領が発表したインドに対する26%の相互関税に対し、インド政府は報復措置を取る可能性は低いとの見方を示しています。今後の米印貿易関係はどうなるのでしょうか？この記事では、両国間の協議状況やインド側の反応、専門家の見解などを交えながら詳しく解説します。

米国発動の関税とインドの反応

2018年、トランプ前大統領はインドとの貿易不均衡を是正するため、鉄鋼やアルミニウム製品への追加関税を発動しました。これに対し、インドも報復関税を検討していましたが、両国間の協議が継続していることから、現時点では報復措置を取る可能性は低いとされています。

ムンバイのボンベイ証券取引所の外で、トランプ関税を報じる現地紙を読む人

インド政府当局者によると、インドはトランプ前大統領の関税命令に含まれる、「非互恵的貿易協定の是正に向け重要な措置を講じる」貿易相手国に対して猶予を与える可能性に関する条項を精査しているとのことです。

インドは米国との貿易協定交渉を早期に開始したことにメリットを感じており、中国、ベトナム、インドネシアなど他のアジア諸国よりも低い関税率が設定されたことで、比較的有利な立場にあると考えているようです。

経済アナリストの田中一郎氏は、「インドは米国との貿易関係を重視しており、全面的な貿易戦争は避けたいと考えているでしょう。報復関税ではなく、交渉を通じて問題解決を図る可能性が高い」と分析しています。

トランプ前大統領の相互関税発表を受け、中国は報復措置を発表しました。欧州委員会も報復関税の発表を目指しましたが、インド、台湾、インドネシアなどは対抗措置を取らない姿勢を示しています。

インドと米国は2018年2月、関税に関する対立を解決するため、同年秋までに貿易協定を締結することで合意しました。今後の交渉の行方によっては、米印間の貿易摩擦が激化する可能性も残されています。

米印間の貿易摩擦は、今後の世界経済にも大きな影響を与える可能性があります。両国が冷静な話し合いを通じて、早期に問題解決を図ることが期待されます。今後の動向に注目が集まります。