トランプ・ジュニア氏、LA暴動写真投稿で韓国系団体が「無謀」と非難 – 現在の抗議デモに関連付け

ロサンゼルス(LA)でトランプ米政権の不法移民取り締まりに反対する抗議デモが続く中、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が1992年にLAで発生した人種差別に関連する暴動(LA暴動)の際の韓国人自警団の写真をソーシャルメディア「X」に投稿した。これに対し、LAの韓国人会は「無謀」な行為だと強く非難し、過去のトラウマを利用しないよう求めた。

トランプ・ジュニア氏の投稿内容

ジュニア氏は、LA暴動発生当時に建物の屋上でライフルを持って立つ男性の写真に「屋上の韓国人を再び偉大に!(Make Rooftop Koreans Great Again!)」というコメントを添えて投稿した。このコメントは、父ドナルド・トランプ氏の選挙スローガン「Make America Great Again」をもじったものとみられる。

2025年6月9日、ロサンゼルスでの不法移民取り締まりに反対する抗議デモで州兵と対峙する人々2025年6月9日、ロサンゼルスでの不法移民取り締まりに反対する抗議デモで州兵と対峙する人々

LA韓国人会からの強い非難

LA韓国人会は、現在のLAにおける混乱状況に深い懸念を表明。現地時間9日に発表した声明の中で、「騒乱がまだ収束していない最中、ドナルド・トランプ・ジュニア氏は6月8日のXへの投稿で33年前のLA暴動の『ルーフトップ・コリアン』に言及し、現在の騒乱を茶化すという無謀さを示した」と指摘した。声明はさらに、「現大統領の長男であり、約1500万人のフォロワーを持つインフルエンサーである彼の行動は、冷え冷えとした時(社会の緊張が高まっている時)に大きなリスクをもたらす可能性がある」と警告。その上で、「韓国人の過去のトラウマをいかなる目的にも決して利用しないよう強く求める」と訴えた。

写真家からの異議申し立て

ジュニア氏が投稿に使用したとされる写真を撮影したフォトジャーナリスト、カン・ヒョンウォン氏は、自身のXアカウントを通じてジュニア氏の投稿に返信した。カン氏は、写真が自身の作品であり、許可なく使用されていることに加え、本来の文脈を無視して利用されていると主張。投稿の削除を求めている。ロイターの取材に対し、カン氏はジュニア氏からの返答はまだなく、弁護士に相談していることを明らかにした。

まとめ

トランプ・ジュニア氏によるLA暴動時の「ルーフトップ・コリアン」に関する写真投稿は、ロサンゼルスの韓国系コミュニティや当該写真の撮影者から強い反発を受けている。現在の政治的・社会的な緊張が高まる中で、歴史的な出来事への言及がどのように受け止められるか、その影響が浮き彫りとなる事態となっている。