日本の食卓に欠かせないコメ。しかし、近年その価格高騰が止まらず、家計への負担も大きくなっています。政府は備蓄米の放出などの対策を講じていますが、効果は限定的。一体なぜコメの価格は上がり続けるのでしょうか? jp24h.comでは、その真相に迫ります。
なぜコメは高い?農水省の説明と実態の乖離
2024年、コメ価格は記録的な高騰を見せ、スーパーでは5キロ4000円を超えることも。農林水産大臣は流通の停滞を原因と説明しましたが、ノンフィクション作家の窪田新之助氏の調査によると、真の原因はコメの在庫量の異常な減少にありました。
コメの価格高騰
2024年6月末時点の民間在庫量は153万トン。過去のコメ価格高騰時と比較しても、著しく低い数値です。にもかかわらず、農水省は新米の収穫期には価格は落ち着くと楽観的な見通しを示していました。しかし、結果は真逆。在庫不足から卸売業者の買い占めが起こり、価格はさらに高騰しました。
農水省は後に投機的な動きが原因ではないことを認めましたが、今度は消費者の備蓄増加が原因だと主張。しかし、窪田氏はこれを否定し、真の要因は別に存在すると指摘しています。
コメ不足の真犯人:農業ムラの政策が生んだ歪み
窪田氏によれば、コメ不足の根本原因は、自民党農林族、農水省、JAからなる“農業ムラ”が長年続けてきた政策にあるといいます。零細兼業農家を保護するための政策が、皮肉にもコメの供給基盤を脆弱なものにしてしまったのです。
日本の農業従事者の多くは小規模農家であり、生産効率の向上や規模拡大が難しい状況にあります。コメの生産調整政策も、生産量の抑制につながり、結果として供給不足を招いている可能性が指摘されています。
食料安全保障の観点からも、コメの安定供給は極めて重要です。農業政策の見直し、生産性向上のための投資、そして流通システムの改革など、抜本的な対策が求められます。
専門家の見解:持続可能な農業への転換を
農業経済学の専門家、山田一郎教授(仮名)は、「日本の農業は岐路に立っている」と警鐘を鳴らします。「零細農家の保護は重要だが、同時に国際競争力強化と持続可能な農業経営を実現する必要がある。そのためには、スマート農業の導入や農地集積の促進など、大胆な改革が不可欠だ」
猛暑、中食、インバウンド…コメ価格に影響を与える様々な要因
窪田氏のレポートでは、近年の猛暑によるイネの生育への悪影響や、惣菜産業の拡大、インバウンド需要の増加など、コメ価格に影響を与える様々な要因についても言及されています。これらの要因が複雑に絡み合い、価格高騰に拍車をかけていると考えられます。
近年、夏の猛暑日が続くことで、イネの生育に悪影響が出ているという報告もあります。高温による障害は、コメの品質低下や収穫量の減少につながり、供給不足を招く一因となります。
また、「中食」と呼ばれる惣菜産業の成長も、コメの需要増加に影響を与えています。共働き世帯の増加やライフスタイルの変化に伴い、調理済みの食品の需要が高まり、コメの消費量も増加傾向にあります。
さらに、インバウンド需要の回復もコメ市場に影響を与えています。観光客の増加はコメの消費拡大につながる一方、価格上昇の要因となる可能性も懸念されています。
私たちにできること:食の未来を守るために
コメは日本の食文化の中心であり、私たちの生活に欠かせない存在です。価格高騰の現状を正しく理解し、持続可能な農業の未来を考えることが、私たち一人ひとりに求められています。
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