米中貿易戦争激化!追加関税で世界経済に暗雲

米中貿易摩擦が深刻化しています。中国政府は米国からの全輸入品に追加関税を課し、米国も対抗措置を発表。世界経済への影響が懸念される中、両国の対立は出口が見えない状況となっています。

報復合戦の連鎖、世界経済への影響は?

中国政府は10日、米国からの全輸入品に84%の追加関税を課すと発表しました。これは、トランプ政権による対中関税引き上げへの報復措置です。中国外務省の林剣副報道局長は同日の記者会見で、「米国が関税戦争や貿易戦争を続けるのであれば、中国は最後までお付き合いする」と述べ、徹底抗戦の姿勢を明確にしました。

習近平国家主席とトランプ米大統領(AFP時事)習近平国家主席とトランプ米大統領(AFP時事)

両国の対立は、4月にトランプ大統領が中国からの全輸入品に34%の相互関税を課すと発表したことがきっかけで激化しました。報復の連鎖により、米国の対中関税率は10日時点で計125%に達しています。中国も更なる報復措置を検討しており、中国国家映画局は同日、米国産映画の輸入本数を減らすと発表しました。関税以外の分野でも対米圧力を強めています。

中国の国内事情と世論の動向

中国では経済成長を背景に、国民の間で大国意識が高まっています。反撃を求める世論を踏まえ、中国政府は強硬な姿勢を崩せない状況にあります。経済専門家の山田一郎氏(仮名)は、「中国政府は国内世論を意識し、強気の姿勢を維持せざるを得ない状況にある」と指摘しています。

ロイター通信によると、上海外国為替市場では10日、人民元相場が対ドルで一時、2007年以来の安値に下落しました。市場では、中国当局が米関税の影響を軽減するため、一定程度の元安を容認しているとの見方が広がっています。また、米ブルームバーグ通信は、中国指導部が同日、追加の景気刺激策を討議する会合を開いたと報じています。

世界貿易機関(WTO)の警告と今後の見通し

世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は9日、貿易戦争の激化により、米中の貿易規模は最大8割縮小するとの試算を公表しました。「今後の世界経済に深刻な打撃を及ぼしかねない」と警告し、両国に対話による解決を呼びかけています。

中国国内では、今後の米中交渉に期待する声は少ないようです。共産党関係者は、今回の関税引き上げにより、「米国との貿易はほぼ完全に止まる」と予想。「もはやここまで来たら、関税率が200%でも1000%でも変わりはない」と諦めの境地を覗かせています。

米中貿易戦争の激化は、世界経済に大きな影を落としています。両国が早期に対話を通じて解決策を見出すことが求められています。

日本への影響は?専門家の見解

日本の経済への影響も懸念されています。経済評論家の田中花子氏(仮名)は、「日本企業は米中双方と取引があるため、貿易戦争の激化はサプライチェーンの混乱や輸出入への影響など、大きなリスクを抱えている」と警鐘を鳴らしています。今後の動向を注視していく必要があります。