国立病院機構、47人の懲戒処分をHP掲載のみで報道発表せず – 隠蔽体質への批判噴出か

国立病院機構(本部・東京)が2024年度に行った47人の懲戒処分が、ホームページ(HP)への掲載のみで報道機関には発表されていなかったことが判明し、波紋を広げています。国民の生命を預かる組織の透明性欠如に、批判が集まりそうです。

処分内容の深刻さと情報公開の遅れ

今回明らかになった47人の懲戒処分には、最も重い懲戒解雇が2人、停職が22人を含むなど、深刻な内容が含まれています。読売新聞の取材に対し、機構は全国6グループに分けて運営されており、各グループのHPに掲載されていたものの、報道発表は行われていなかったことが確認されました。

altalt東京にある国立病院機構本部ビル。情報公開の遅れが批判されている。

東海北陸グループの事例:深刻なハラスメントと患者虐待

東海北陸グループでは、東名古屋病院(名古屋市)の男性理学療法士が、上下関係を利用した性的関係を繰り返し持ったとして懲戒解雇処分を受けていました。また、鈴鹿病院(三重県)では、障害のある入院患者への虐待で看護師ら4人が停職処分となるなど、患者への安全に関わる重大な事案も発生していました。

関東信越グループの事例:業務外の事故も懲戒処分の対象に

関東信越グループでは、西新潟中央病院(新潟市)の看護師が通勤中に人身事故を起こし、有罪判決を受けたことを理由に懲戒解雇処分を受けていました。業務外の事案とはいえ、人命に関わる事故を起こした職員への対応として、厳しい処分が下された形です。

情報公開の指針に反する対応か?

人事院の「懲戒処分の公表指針」では、公表方法として「記者クラブ等への資料の提供その他適宜の方法」が例示されています。国立病院機構の対応は、この指針に沿っていると言えるのでしょうか?各グループは22~23年頃までは報道機関に発表していたにも関わらず、24年度はHP掲載のみで、しかも約3週間後には削除されていたという事実も、疑問を深めます。

国立病院機構の対応と今後の展望

機構本部は、読売新聞の指摘を受けるまで、懲戒解雇でも報道発表していない事案があることを把握していなかったと回答。隠蔽の意図はないとしながらも、公表のあり方について検討を始めていると述べています。医療行政を担う組織として、透明性の確保は不可欠です。今後の対応に注目が集まります。

国立病院機構とは?

2004年に設立された厚生労働省所管の独立行政法人。旧国立病院と旧国立療養所を統合し、全国規模で医療を提供しています。約6万4000人(2024年4月時点)の職員は「みなし公務員」に該当し、国の医療政策や地域医療の向上に貢献する役割を担っています。国民の健康を守る重要な機関として、その責任は重大です。