「ただボタンを押すだけではない」下に落ちた遺体をキャッチして整えて…刑務官が明かした、死刑執行を担当した日「家に帰れなくなる」理由


【コミック】『刑務官が明かす死刑の現場』を読む

 ノンフィクションコミック『 刑務官が明かす死刑の現場 』(一之瀬はち 著、竹書房)は、様々な条件をクリアして実際に死刑に立ち会った経験のある現役刑務官「マトバさん」に取材して、“極秘情報”をまとめたシリーズの第3弾だ。

 なかなか光が当たることのない死刑の現場について、取り上げ続ける理由とは――。作者である漫画家の一之瀬はちさんに話を聞いた。

刑務官が死刑について話すのは“禁忌”

一之瀬はちさん(以下、一之瀬) ネットのコメントでは「刑務所の中でどんなことが行われているか知らなかったけど、読んで死刑の反対・賛成を考えるきっかけになった」と言っている人をよく目にします。これは今回に限らず、シリーズを通してですね。

 死刑囚の生活について知る機会はほとんどないからか、「こんなに良い生活を送ってたんだ」と言う人もいます。確かにそうだけど、その先には死が待っているけどね……と思ったり。中には「ここまで喋っちゃっていいの?」という反応も正直あります。刑務官が死刑について話すこと自体が“禁忌”のようになってしまっているからでしょうね。

――漫画の中では現役刑務官の「マトバさん」が死刑について説明してくれますが、実際には話してくれる刑務官はやはり少数派なのでしょうか。

一之瀬 そうですね。家族にすら仕事の話はしたくないという人が多いようです。マトバさんのように私に話をしてくれる刑務官の方々には、世間の誤解を解きたいという想いがあるのだと思います。皆さんの話を聞いていると、仕事について説明してもわかってもらえない苦しみがあるように感じます。

――刑務官に対する世間の誤解とは、どういったものでしょうか。



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