ノロウイルスによる感染性胃腸炎。冬に流行するイメージが強いですが、実は春先も感染リスクが潜んでいます。jp24h.comでは、ノロウイルス感染症の現状と対策について、専門家の知見を交えながら詳しく解説します。
ノロウイルス感染症とは？その症状と感染経路
ノロウイルスは感染力の非常に強いウイルスで、わずか数十個のウイルスでも感染を引き起こす可能性があります。感染すると、1～2日の潜伏期間を経て、激しい嘔吐や水様性の下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。健康な成人の場合、適切な水分補給と安静を保てば数日で回復することが多いですが、乳幼児や高齢者は脱水症状に陥りやすく、重症化のリスクも高いため注意が必要です。
感染経路は主に、汚染された食品や水を介した経口感染と、感染者の便や嘔吐物に触れた手を介した接触感染です。また、嘔吐物の処理中に乾燥したウイルスが空気中に舞い上がり、それを吸い込むことによる感染も報告されています。
ノロウイルスの電子顕微鏡写真
今年のノロウイルス流行状況：例年とは異なる傾向
感染症専門家である川崎市健康安全研究所参与の岡部信彦医師によると、ノロウイルス感染症は例年、11月頃から患者数が増加し、12月～1月にピークを迎えた後、一旦減少、2～3月に再び増加し、低いピークを迎えるという二峰性の傾向が見られます。しかし、今年は例年とは異なる流行パターンを見せており、年明けに急激な増加が見られるなど、注意が必要です。
食中毒の発生事例：集団感染のリスク
ノロウイルス感染症による食中毒は、飲食店や高齢者施設などで集団感染を引き起こす可能性があり、重症化や死亡例も報告されています。2025年2月末には富山県富山市の高齢者施設で、蒸しガキを食べた入所者の間で集団食中毒が発生し、1人が嘔吐物を喉に詰まらせ死亡するという痛ましい事故も発生しました。厚生労働省の発表によると、2025年は4月1日時点で既に110件以上の食中毒発生事例が報告されています。
ノロウイルス感染症の予防対策：家庭でできること
ノロウイルス感染症を予防するために、家庭でできる効果的な対策をいくつかご紹介します。
手洗いの徹底：感染予防の基本
ノロウイルス感染症予防の基本は、流水と石鹸による丁寧な手洗いです。特に、トイレの後、食事の前、調理の前後には必ず手洗いをしましょう。アルコール消毒はノロウイルスには効果が薄いため、石鹸と流水での手洗いが重要です。
食品の適切な加熱：ウイルスを死滅させる
ノロウイルスは加熱に弱いため、食品を十分に加熱することで感染リスクを減らすことができます。特に、二枚貝などの魚介類は中心部までしっかりと加熱しましょう。
調理器具の消毒：二次感染を防ぐ
調理器具や食器は、熱湯消毒または塩素系漂白剤で消毒することで、ウイルスを除去できます。まな板や包丁などの調理器具は、使用後すぐに洗浄・消毒することが大切です。食品調理従事者の衛生管理に関する専門家、佐藤先生（仮名）は、「調理器具の消毒は、二次感染を防ぐ上で非常に重要です。特に、ノロウイルスは少量でも感染するため、徹底した消毒が必要です。」と強調しています。
まとめ：油断せずに予防対策を
ノロウイルス感染症は、冬だけでなく春先も感染リスクがあります。手洗いの徹底、食品の適切な加熱、調理器具の消毒など、基本的な予防対策をしっかりと行い、感染リスクを減らしましょう。また、感染が疑われる場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
この記事が皆様の健康管理の一助となれば幸いです。ぜひ、ご家族や友人にもこの情報を共有し、ノロウイルス感染症の予防に役立ててください。
