米中貿易摩擦激化!米国企業の苦境と中国・EUの接近

米中貿易摩擦が激化の一途を辿る中、高関税の応酬によって米国企業が苦境に立たされています。中国はEUとの関係修復を模索するなど、新たな戦略を打ち出し始めています。この記事では、米中貿易摩擦の現状と米国企業への影響、そして中国とEUの今後の動向について詳しく解説します。

ボーイング、テスラ…米企業への影響深刻化

中国の報復関税によって、米国を代表する企業であるボーイングとテスラが大きな打撃を受けています。

ボーイング、航空機受領延期で1.2億ドルの損失

吉祥航空は、ボーイングの大型旅客機B787-9ドリームライナーの受領を延期しました。これは、米中間の関税合戦の影響によるものです。ブルームバーグによると、ボーイングは3週間以内に1億2000万ドル相当の航空機を引き渡す予定でしたが、関税の影響で計画が頓挫しました。

ボーイング787-9ドリームライナーボーイング787-9ドリームライナー

テスラ、高級モデルの注文受付を中断

電気自動車メーカーのテスラも、中国の報復関税の影響を受けています。ロイター通信によると、テスラは中国で販売する高級モデル「モデルS」と「モデルX」の新規注文受付をウェブサイトで中断しました。中国で生産・販売されている「モデル3」と「モデルY」は注文可能ですが、米国で生産され中国に輸出されている高級モデルは、高関税の影響で販売が困難になっているようです。

中国の上海にギガファクトリーを構えるテスラは、中国市場で販売する多くの製品を現地生産しています。しかし、高級モデルである「モデルS」と「モデルX」は米カリフォルニア州の工場で生産され、中国に輸出されています。中国の報復関税により、これらの高級モデルの輸入が事実上ストップした形です。業界関係者は、高級モデルの販売台数は少ないものの、今回の事態はテスラにとって大きな痛手となる可能性を指摘しています。

中国とEU、貿易摩擦の中で接近

米国の関税政策に対し、これまで貿易で対立してきた中国とEUが接近の兆しを見せています。ロイター通信によると、欧州委員会は中国製電気自動車に課している高率関税の代わりに、最低価格を設定する案を中国政府と協議しています。

昨年10月、EUが中国製電気自動車に関税を課したことに対し、中国は欧州産酒類への報復関税や欧州産豚肉に対する反ダンピング調査を開始するなど、両者の対立が激化していました。しかし、米中貿易摩擦の激化が、中国とEUの協力を促すという皮肉な結果をもたらしています。

貿易摩擦の行方

米中貿易摩擦は、世界経済に大きな影響を与えています。米国企業は中国市場での販売減少やサプライチェーンの混乱に直面し、中国経済も減速の懸念が高まっています。今後、米中両国がどのような対応を取るのか、世界経済の行方を左右する重要な局面を迎えています。

中国とEUの接近は、米国の貿易政策に対する新たな対抗軸となる可能性があります。今後の動向を注視していく必要があります。