京都市バス運転手、運賃着服で退職金不支給確定 最高裁が判断

京都市営バスの元運転手が運賃を着服したとして懲戒免職処分となり、退職金も全額不支給となった件で、最高裁は不支給処分を適法と判断しました。この記事では、事件の概要、裁判の経緯、そして今回の判決が持つ意味合いについて詳しく解説します。

運賃着服事件の概要と裁判の経緯

2022年、長年京都市営バスの運転手として勤務していた男性が、乗客から受け取った運賃の一部である千円札を着服したとして、懲戒免職処分を受けました。同時に、約1200万円の退職金も全額不支給となりました。

これに不服とした元運転手は、懲戒免職処分と退職金不支給処分の取り消しを求めて京都地方裁判所に提訴。2023年7月の一審判決では、原告の請求は棄却されました。しかし、2024年2月の大阪高等裁判所の判決では、懲戒免職処分は適法としたものの、退職金全額不支給は「酷に過ぎる」として、不支給処分の取り消しが命じられました。

京都市営バス京都市営バス

この高裁判決を受け、京都市が上告。そして2025年4月17日、最高裁判所第一小法廷は二審判決を破棄し、元運転手の請求を棄却。退職金不支給処分は適法であるとの最終的な判断が下されました。

最高裁の判断とその影響

最高裁は、運賃着服という行為は「バス事業の運営の適正を害するもの」であり、市の処分は違法とは言えないと判断しました。公共交通機関であるバスの運転手には高い倫理観が求められること、そしてわずかな金額であっても着服行為は市民の信頼を損なう重大な違反行為であることが、今回の判決の背景にあると考えられます。

人事コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「今回の判決は、公共交通機関における不正行為に対する厳格な姿勢を示すものと言えるでしょう。従業員の倫理観の向上、そして市民からの信頼確保の観点からも、重要な判例となるでしょう」と述べています。

今後の公共交通機関への影響

今回の判決は、他の公共交通機関にも影響を与える可能性があります。従業員の不正行為に対する処分基準の見直しや、倫理教育の強化などが進むことが予想されます。また、企業におけるコンプライアンスの重要性が改めて認識される契機となるでしょう。

まとめ

京都市バス運転手の運賃着服事件は、最高裁の判決により、退職金不支給処分が確定しました。公共交通機関における不正行為の重大さを改めて示す結果となりました。今後も、公共交通機関における倫理観の向上と市民からの信頼確保に向けた取り組みが求められるでしょう。