近年、国民の大切な保険料を原資とする訪問看護事業において、不正な診療報酬請求が相次いで報道されています。一体なぜこのような事態が続くのでしょうか？この記事では、訪問看護の現場で長年活躍してきた作業療法士の生の声を通して、不正請求の実態とその背景にある問題点、そして未来への展望を探ります。
訪問看護とは？その役割と重要性
訪問看護とは、病気や障害を持つ方が住み慣れた自宅で安心して療養生活を送れるよう、看護師や作業療法士などが定期的に自宅を訪問し、医療サービスを提供するものです。高齢者の方には血圧・体温測定や服薬管理、精神疾患のある方には精神状態の確認や生活支援など、一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかなケアを提供しています。まさに、地域医療を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。
訪問看護の様子
訪問看護における不正請求の実態
しかし、その一方で、訪問時間を水増ししたり、実際には行っていない医療行為を請求するなど、不正請求の事例が後を絶ちません。これらの不正は、医療保険制度の根幹を揺るがす深刻な問題であり、国民への裏切り行為と言えるでしょう。
なぜ不正請求は起こるのか？ 現場の声から紐解く
今回、20年近くのキャリアを持つ作業療法士、足立佳奈さん（仮名）と佐々木修二さん（仮名）に、現場の実態についてお話を伺いました。お二人は口を揃えて、「過剰な事務作業や低い報酬体系、人材不足など、訪問看護を取り巻く厳しい環境が不正請求の温床になっている」と指摘します。「経営を維持するために不正に手を染めてしまう事業者もいる」という現実も明らかになりました。
制度の改善と倫理観の向上：未来への展望
訪問看護制度の持続可能性を確保し、質の高いサービスを提供し続けるためには、不正請求の根本原因への対策が不可欠です。専門家からは、監査体制の強化、報酬体系の見直し、ICT化による事務作業の効率化など、具体的な提案が挙がっています。また、医療従事者一人ひとりの倫理観の向上も重要な課題です。
まとめ：誰もが安心して利用できる訪問看護を目指して
訪問看護は、地域社会にとってなくてはならない存在です。不正請求を根絶し、誰もが安心して利用できる制度を構築するためには、関係者全体の協力が不可欠です。私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、より良い未来を目指して共に歩んでいくことが大切です。
