北朝鮮製自走砲、ロシア領内で確認!ウクライナ侵攻への影響は?

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、北朝鮮製の170ミリ自走砲がロシア領内の基地に配備されていることが、読売新聞の衛星画像分析で明らかになりました。この事実は、北朝鮮がロシアへの兵器供給を継続的に行っていることを示唆し、ロシア軍の継戦能力への影響が懸念されています。

衛星画像が捉えた北朝鮮製自走砲の証拠

米宇宙企業マクサー・テクノロジーズが撮影した昨年11月26日の衛星画像を読売新聞が分析した結果、ウクライナ国境から約450キロメートル離れたロシア西部サラトフ州のイワノフスキー基地に、北朝鮮の170ミリ自走砲と特徴が一致する2両が確認されました。

北朝鮮軍の170ミリ自走砲北朝鮮軍の170ミリ自走砲

これらの自走砲の寸法は、米陸軍がホームページで公開している北朝鮮の170ミリ自走砲(長さ14.9メートル、幅3.27メートル)とほぼ一致。さらに、北朝鮮製の特徴である長い砲身も確認されました。ロシアの軍事・安全保障政策に精通する小泉悠・東大先端科学技術研究センター准教授も、画像を分析し、北朝鮮製である可能性が高いと指摘しています。

自走砲配備の目的とウクライナ侵攻への影響

イワノフスキー基地はウクライナ国境から約450キロメートル離れており、自走砲の射程(約40~60キロメートル)を考慮すると、ウクライナ軍の地対地ミサイルなどの射程外にあります。そのため、これらの自走砲は砲兵の射撃訓練などに使用されていると推測されます。衛星画像には、自走砲周辺に移動の際に残った車輪の跡も確認されており、活発な活動が行われている様子がうかがえます。

ウクライナ政府高官は、北朝鮮の自走砲が既に実戦に投入されたとの見方を示しています。また、米国の軍事オンラインメディア「ザ・ウォー・ゾーン」は、ウクライナ国防省の情報機関トップの発言として、過去3か月間に北朝鮮からロシアに提供された自走砲は120両に上ると報じています。

ロシア軍の兵器不足を補う北朝鮮の供給

米経済誌フォーブスによると、ロシア軍はウクライナ侵攻開始以降、多くの自走砲を失っており、交換用の砲身の不足なども深刻化しています。こうした状況下で、北朝鮮からの兵器供給は、ロシア軍の継戦能力を支える重要な役割を果たしている可能性があります。北朝鮮からの兵器供給の実態解明は、今後のウクライナ情勢を占う上で重要な鍵となるでしょう。