トランプ前大統領が、再び数万人の連邦政府職員の雇用区分を変更する意向を表明しました。この動きは、職員の雇用保護を剥奪し、大量解雇を容易にする可能性があるとして、波紋を広げています。本記事では、今回の雇用区分変更の背景、影響、そして専門家の見解などを詳しく解説します。
トランプ氏の狙いとは?「企業のように運営」を目指す政府改革
トランプ氏は、連邦政府を「企業のように運営する」という持論のもと、政府の効率化とスリム化を目指しています。今回の雇用区分変更も、その一環と見られています。彼は、政策立案に関わるキャリア職員を「スケジュール政策/キャリア」という新たな区分に分類する方針を示しました。
alt
ミシガン大学フォード公共政策大学院のドン・モイニハン教授は、この新たな区分によって、解雇対象となる職員の範囲が大幅に拡大する可能性を指摘しています。実際、数十万人の職員の雇用区分が変更される可能性も示唆されており、今後の動向が注目されます。
過去の動きと今回の違い:スケジュールFの復活?
トランプ氏は、1期目の終盤にも一部職員の雇用区分を「スケジュールF」と呼ばれる政治任用に切り替える動きを見せていました。しかし、この動きはバイデン前大統領によって撤回されていました。当時、スケジュールFが導入されれば、少なくとも5万人の連邦政府職員の解雇が容易になると指摘されていました。今回の雇用区分変更は、スケジュールFの復活を彷彿とさせるものがあり、懸念の声が高まっています。
労働組合の反発:実力主義の侵食と公務員の弱体化
アメリカ最大の連邦政府職員労働組合である米公務員連盟(AFGE)は、トランプ氏の動きに強く反発しています。AFGEのエベレット・ケリー会長は、トランプ氏の行動は政府の実力主義の採用制度を侵食し、国民の信頼を得ているプロフェッショナルな公務員を弱体化させると批判しています。
専門・技術労働者国際連盟のマット・ビッグス会長も、トランプ氏の動きは連邦政府職員を「実質的に自由意志の職員」、つまり解雇しやすくするものだと指摘し、徹底的に抵抗する姿勢を示しています。
大量解雇の懸念:既に26万人以上が解雇・退職
ロイターの集計によると、トランプ氏が2025年1月に就任して以来、既に26万人以上の政府職員が解雇、早期退職、または雇用終了の対象となっています。今回の雇用区分変更によって、さらに多くの職員が解雇される可能性があり、政府機能の低下が懸念されています。
トランプ氏と、側近であるイーロン・マスク氏が率いる政府効率省(DOGE)は、連邦政府は肥大化し、無駄と不正が多いと主張し、人員削減を進めています。しかし、専門家からは、このような急激な人員削減は政府の機能を損ない、国民生活に悪影響を及ぼす可能性があると警告する声も上がっています。
まとめ:今後の展開と影響に注目
トランプ前大統領による連邦政府職員の雇用区分変更は、大量解雇への懸念を高め、労働組合の反発を招いています。今後の展開次第では、政府機能の低下や国民生活への影響も懸念されます。引き続き、この問題の動向に注目していく必要があります。