米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は5日、高関税措置を含む貿易問題を巡り電話で協議を行った。トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)で、「両国にとって非常に前向きな結論となった」と述べ、協議内容を高く評価した。また、近く米中が閣僚級の会議を開くとの見通しも示した。今年1月の大統領就任以降、米中首脳が直接協議を行うのはこれが初めてとみられる。
米中首脳 電話会談に関するニュース記事で紹介される習近平国家主席とトランプ大統領の写真
トランプ氏側の見解
トランプ氏によると、両首脳は約1時間半にわたり協議し、焦点は貿易問題に当てられた。米国側が問題視する中国のレアアース(希土類)の輸出規制に関しては、「もはや何の疑問もないだろう」と投稿し、この問題が解決に向かうとの認識を示唆した。
米中貿易問題の焦点の一つであるレアアース(希土類)のサンプル写真
貿易問題以外では、ロシア、ウクライナ、イランについては何も議論しなかったと述べている。
また、近く貿易問題を巡る米中の閣僚級会議が開催される見通しを示し、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア米通商代表部(USTR)代表が参加するとした。さらに、習主席から中国訪問への招待があったことも明かしている。
中国側の見解
一方、中国外務省の発表によると、習主席は協議で「中米関係という大きな船の針路のかじ取りを誤ってはならない」と主張した。「中国は厳格かつ誠実に合意を履行してきた。中国に対する否定的な措置を撤回するべきだ」と求めた。
中国側の発表では、レアアース問題には触れられていない。
貿易問題以外では、「米国は台湾問題を慎重に扱うべきだ」と釘を刺した。これに対し、トランプ氏は今後も「一つの中国」政策を支持する姿勢を示したとされる。また、米国は一部の中国人留学生の査証(ビザ)を取り消す方針を発表しているが、これに関連しトランプ氏は「米国は中国人留学生が米国で学ぶことを歓迎する」と述べたという。
習主席は改めてトランプ氏に対し「再度の中国訪問を歓迎する」と述べ、対話を継続する意思を示した。
これまでの経緯と今後
米中両政府は5月10~11日にスイスで閣僚級協議を開き、米国が対中関税を145%から30%に、中国が対米関税を125%から10%に引き下げることで合意した。さらに、米製品の購入拡大を求める米国と、関税の一段の引き下げを求める中国は、協議を継続することでも一致していた。
しかし、その後トランプ氏は「中国が合意を破った」と不満を表明し、早期の米中首脳協議を求めていた背景がある。
結論
今回の米中首脳電話会談は、貿易問題を巡る両国の緊張緩和に向けた一歩となる可能性を示唆した。トランプ氏が協議の「前向きな結論」を強調する一方、中国側は特定の争点(レアアース)について触れず、台湾問題での慎重な対応を求めるといった、双方の立場の違いも浮き彫りとなった。今後、閣僚級会議が設定され、対話が継続されるかどうかが焦点となる。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/01d1c9a94e520b862b27b7d89d6fa8631461dc27