世界一高い橋、花江峡谷大橋が中国貴州省に完成!驚異の620m、その建設背景と課題とは?

貴州省に建設中の花江峡谷大橋が、2023年6月に完成予定です。水面からの高さはなんと約620メートル!世界一の高さとなるこの橋は、中国のインフラ整備の象徴とも言える存在です。この記事では、花江峡谷大橋の概要、建設の背景、そしてその建設に伴う課題について詳しく解説します。

花江峡谷大橋:驚異の規模と建設技術

全長約2900メートル、総重量約2万2000トン(エッフェル塔3個分!)、そして建設費用は約400億円。これらの数字が物語るように、花江峡谷大橋はまさに巨大プロジェクトです。険しい峡谷を跨ぐこの橋は、完成すれば移動時間を2時間からわずか1分に短縮するというから驚きです。2022年1月に着工し、わずか1年半で完成予定という驚異的なスピードも注目すべき点です。

alt 花江峡谷大橋の建設風景。クレーンや足場が組まれ、巨大な橋桁が峡谷に架け渡されている様子がわかる。alt 花江峡谷大橋の建設風景。クレーンや足場が組まれ、巨大な橋桁が峡谷に架け渡されている様子がわかる。

なぜ貴州省に?中国のインフラ整備戦略を読み解く

中国は近年、インフラ整備に力を入れており、特に開発が遅れている山岳地帯への投資を強化しています。貴州省もその一つ。深圳市から西へ約1300キロに位置するこの省は、険しい地形のため交通の便が悪く、経済発展の足かせとなっていました。花江峡谷大橋の建設は、こうした地域格差を是正し、経済発展を促進するための重要な戦略の一環と言えるでしょう。

世界トップ100にランクインする橋が集中する貴州省:その光と影

貴州省には、世界で最も高い橋トップ100に入る橋の半数近くが集中しています。2016年に完成した北盤江大橋もその一つで、わずか数年で世界一の座を花江峡谷大橋に譲ることになります。これほどの数の橋が建設されている背景には、2012年に中国国務院が策定した貴州省開発計画があります。この計画に基づき、23もの大橋と高速道路が建設されました。

しかし、この急速なインフラ整備には課題も存在します。莫大な建設費用により、貴州省は巨額の負債を抱えることになりました。2022年時点で3880億ドルにものぼる借金を抱え、年間の利子支払額だけで1兆1000億円に達すると推定されています。

専門家の見解:インフラ整備の功罪

カルガリー大学のMamdouh El-Badry教授は、花江峡谷大橋のような大規模工事は通常5〜10年かかると指摘し、中国の驚異的な建設スピードは環境問題や地域住民の反対を無視した結果であると述べています。(出典:Newsweek)

また、オックスフォード大学のAtif Ansar教授は、インフラ整備は諸刃の剣であり、需要を考慮せずに建設を進めることはリスクを伴うと警告しています。(出典:Wall Street Journal)

負債と通行需要:持続可能な発展への道筋

コロナ禍や不動産市場の低迷も貴州省の経済状況を悪化させています。巨額の負債を抱えながら、通行需要が十分でない可能性も指摘されており、花江峡谷大橋の建設は貴州省にとって大きな賭けと言えるでしょう。今後の経済発展と持続可能性を両立させるためには、慎重な財政運営と地域経済の活性化が不可欠です。