米中貿易摩擦の中核をなす「トランプ関税」。その迷走ぶりは世界経済を揺るがし、政権内部にも大きな波紋を広げています。本記事では、関税政策を巡る政権内抗争の現状と、対立姿勢を強める中国経済への影響について詳しく解説します。
政権内を揺るがす関税政策
度重なる方針転換で混迷を深めるトランプ関税。その背景には、政権内部の激しい勢力争いがあります。イーロン・マスク氏とピーター・ナバロ上級顧問の衝突は、その一端を象徴する出来事と言えるでしょう。
マスク氏は欧米間の関税撤廃を訴え、一方のナバロ氏はマスク氏を「自動車メーカーではなく、組み立て業者」と批判。この応酬は、自由貿易推進派と保護貿易主義者の対立を鮮明に表しています。
マスク氏とナバロ氏の対立
経済・政治アナリストのジョセフ・クラフト氏(仮名)は、この対立を政権内勢力図の変化と分析。関税強硬派のナバロ氏やウィルバー・ロス商務長官の影響力が低下し、スティーブン・ムニューシン財務長官やロバート・ライトハイザー通商代表の影響力が増しているといいます。
混乱収拾のため、トランプ大統領は関税交渉を本来担当する商務長官ではなく、財務長官に委ねたとのこと。これは異例の事態であり、政権内の力学変化を如実に示しています。
強硬姿勢を崩さない中国への影響
米国との対立姿勢を強める中国。トランプ関税の影響は、中国経済にも深刻な影を落としています。
明海大学の小谷哲男教授は、政権関係者の話として、関税政策の混乱の責任をナバロ氏に問う声が上がっていると指摘。ナバロ氏の更迭の可能性も示唆しています。
中国経済への影響
中国経済は減速傾向にあり、トランプ関税による輸出減少は更なる打撃となっています。中国政府は景気刺激策を打ち出していますが、先行きは不透明です。
まとめ
トランプ関税を巡る政権内抗争は激化し、中国経済への影響も深刻化しています。今後の米中関係、そして世界経済の行方は、この関税問題の帰趨に大きく左右されるでしょう。