漫画家として60年のキャリアを持つ井出智香恵さんが、ハリウッドスターを名乗る人物から約3年半に渡り国際ロマンス詐欺の被害に遭い、7500万円もの大金を失った事件は、大きな衝撃を与えました。本記事では、その巧妙な手口と、誰もが陥る可能性のある心の隙間に迫ります。
ハリウッドスターからのメッセージ、夢のような出会いの始まり
2018年、井出さんは憧れのハリウッドスター、マーク・ラファロ氏(ハルク役)のSNSに頻繁に「いいね」を押していました。するとある日、Facebookにマーク氏を名乗る人物からメッセージが届きます。「君と話したい」。夢のような出来事に、井出さんは驚きながらも返信。翻訳機能を使いながらやりとりが始まり、次第に癒やしを感じるようになっていきました。
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しかし、アメリカの知人にこの出来事を話すと「偽者ではないか?」と指摘され、一度は連絡を断ちます。
疑念を払拭するビデオチャット、そして巧妙な心理操作
ところが数か月後、「疑うならビデオチャットで話さないか?」と再び連絡が。恐る恐るビデオチャットを繋いでみると、そこには憧れのマーク・ラファロ氏がいました。後に警察の捜査で明らかになったのは、これはAI技術を駆使した「ディープフェイク」と呼ばれる合成動画だったのです。デジタル技術に疎かった井出さんは、この巧妙な罠にまんまと嵌ってしまうのでした。
彼は井出さんの代表作である漫画『源氏物語』を読んだことがあると言い、実際にその漫画を手に取って感想を伝えてきました。「自立した知的な女性」だと褒められ、漫画家としてこれ以上ない喜びを感じた井出さん。このビデオチャットで、完全に相手を信じ込んでしまったと言います。
互いのプライベートな話をするようになり、井出さんは別れた夫からのDV被害を告白。相手も離婚調停中だと悩みを打ち明け、二人の距離は急速に縮まっていきました。
専門家の見解:巧妙化するロマンス詐欺の手口
セキュリティ専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「近年のロマンス詐欺は、AI技術を駆使した高度な手法を用いるケースが増加しています。特にディープフェイクは、著名人を装って被害者を信じ込ませる強力なツールとなっています」と警鐘を鳴らします。
まとめ:誰もが被害者になり得るロマンス詐欺
井出さんのケースは、誰もが国際ロマンス詐欺の被害者になり得ることを示唆しています。巧妙な手口だけでなく、孤独感や承認欲求といった人間の心理的な隙につけ込む点が、この犯罪の恐ろしさです。
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