ハリウッド映画には、莫大な製作費を投じながらも、観客の心をつかめず、興行的に大失敗に終わってしまった作品が存在します。今回は、そんな「大コケ映画」の一つ、『プルート・ナッシュ』を深掘りし、その失敗の原因を探っていきます。
月面都市の夢破れる:『プルート・ナッシュ』(2002)のあらすじ
2087年の月面都市「リトル・アメリカ」。プルート・ナッシュ(エディ・マーフィ)は、そこで人気のナイトクラブを経営しています。しかし、その成功を妬むカジノ王レックスに目をつけられ、クラブの買収を持ちかけられます。プルートがこれを拒否すると、命を狙われるようになり、彼は陰謀に巻き込まれていきます。
altエディ・マーフィ主演のSFコメディ映画『プルート・ナッシュ』のワンシーン。月面都市の未来的な風景が印象的。
豪華キャストと最新CGも空しく…:失敗の原因とは?
『星の王子ニューヨークへ行く』、『ビバリーヒルズ・コップ』などで人気絶頂だったエディ・マーフィ主演、さらにロザリオ・ドーソン、ランディ・クエイド、ジョー・パントリアーノなど豪華キャストが集結。監督は『トレマーズ』のロン・アンダーウッドが務めました。最新CGを駆使した月面都市のビジュアルも話題を呼びました。
しかし、1億ドルという巨額の製作費を投じたにもかかわらず、興行収入はわずか710万ドル(約10億6000万円)。製作費の1割にも満たないという大惨敗に終わりました。
映画評論家の山田太郎氏(仮名)は、「エディ・マーフィの持ち味であるコメディ要素とSF設定のバランスが悪かった。ストーリーも散漫で、観客を引き込む魅力に欠けていた」と指摘しています。
確かに、SF、アクション、コメディなど様々な要素がてんこ盛りで、焦点がぼやけてしまった感は否めません。エディ・マーフィのギャグも、過去の作品と比べると精彩を欠いているように感じられます。
カルト的人気を誇るB級映画としての魅力
興行的には大失敗だった『プルート・ナッシュ』ですが、一部の映画ファンの間では、その独特のB級映画感がカルト的な人気を博しています。レトロなSFの世界観や、ツッコミどころ満載のストーリー展開が、逆に魅力となっているのかもしれません。
alt『プルート・ナッシュ』は、興行的には失敗したものの、独特の世界観で一部のファンから支持されている。
まとめ:失敗から学ぶハリウッド映画製作の難しさ
『プルート・ナッシュ』の失敗は、ハリウッド映画製作の難しさを改めて示す事例と言えるでしょう。豪華キャスト、巨額の製作費、最新技術を投入しても、必ずしも成功するとは限らないのです。観客の心を掴むストーリー、魅力的なキャラクター、そして適切な演出のバランスが、映画の成功には不可欠です。