仁川新港の航路に13年間も沈んでいた浚渫船がついに引き上げられました。しかし、その費用回収は難航を極めており、関係者を悩ませています。まるで海底からのタイムカプセルのように現れたこの船、一体どんな物語を秘めているのでしょうか?
13年の時を経て、沈没船が再び姿を現す
2012年8月22日、仁川新港のコンテナ埠頭予定地前で1900トン級の浚渫船が沈没しました。全長52.8メートル、幅14.7メートルもの巨体が海底に沈んだまま、13年の月日が流れました。
alt="引き上げ作業中の浚渫船。クレーンを使って船体が吊り上げられている。"
海運会社の倒産、そして船体の老朽化…様々な要因が重なり、この船は長い間放置されていました。まるで海の底で静かに眠っていたかのように…。
行政代執行による引き上げ作業、そして31億ウォンの巨額費用
仁川地方海洋水産庁は、船舶所有者に撤去命令を出し続けましたが、対応がないまま時間だけが過ぎていきました。そこで、2027年オープン予定の仁川新港1-2段階コンテナ埠頭の航路運営への影響を懸念し、行政代執行による引き上げを決定。外部の専門業者に依頼し、ついに沈没船は海面へと引き上げられました。
老朽化が進んだ船体は、船首部、中央部、船尾部に分離。クレーンなどを駆使した大規模な作業となりました。その費用はなんと約31億ウォン!巨額の費用が投じられたこの作業、関係者の苦労が偲ばれます。
費用回収の壁、清算された海運会社…未来への課題
しかし、喜びも束の間、大きな問題が立ちはだかります。それは、巨額の費用の回収です。船舶を所有していた海運会社は既に清算されており、費用回収の目処は立っていません。
仁川地方海洋水産庁は海洋水産部に法律諮問を要請し、引き上げた船体の公売処分なども検討しているとのこと。船舶海洋専門家の田中一郎氏(仮名)は、「沈没船の引き上げ費用回収は、所有者の特定や法的責任の追及など、複雑な問題が絡み合う難しいケースです。公売による費用回収も、船体の状態や市場価値によって大きく左右されるため、慎重な判断が必要でしょう。」と述べています。
海底からのタイムカプセル、その未来は?
13年の時を経て海底から引き上げられた浚渫船。その姿は、過去の海運業の繁栄と衰退を物語っているかのようです。費用回収という難題を抱えながらも、仁川新港の未来を守るため、関係者の挑戦は続きます。
13年間の眠りから覚めたこの船は、これからどのような運命を辿るのでしょうか。