元安芸高田市長、石丸伸二氏によるSNS上での虚偽投稿をめぐる訴訟は、最高裁で市側の敗訴が確定しました。地方自治体の首長によるSNS発信のリスク、そして地方議会における情報公開の重要性が改めて問われる結果となりました。
SNS投稿で名誉毀損、33万円の賠償命令
2020年11月、石丸氏は当時市長在任中に、市議との議会運営に関する協議の中で、山根温子市議から「議会を敵に回すと政策が通らなくなる」と脅迫されたとSNSに投稿しました。山根市議は名誉を毀損されたとして市に損害賠償を求める訴訟を起こし、一審・二審に続き、最高裁も市への33万円の賠償を命じました。
元安芸高田市長、石丸伸二氏
録音データが決め手に
判決の決め手となったのは、協議の場の録音データでした。このデータには、山根市議が石丸氏を脅迫したとする発言は記録されておらず、石丸氏のSNS投稿が虚偽であることが証明されました。 地方自治研究機構の専門家、佐藤一郎氏(仮名)は「公職にある者が、事実確認を怠り、自身の発信力を使って虚偽情報を拡散することは、民主主義の根幹を揺るがす行為です」と指摘します。
市長アカウントの投稿は「公務」と判断
裁判所は、石丸氏が市長アカウントを使用して投稿したことから、この行為を「公務」と判断しました。国家賠償法に基づき、公務員が違法行為によって他人に損害を与えた場合、自治体が賠償責任を負うことになります。この判決は、地方自治体の首長がSNSを利用する際の責任の重さを改めて示すものとなりました。
情報公開の重要性
今回の判決は、地方議会における情報公開の重要性を改めて浮き彫りにしました。透明性の高い議会運営は、市民の政治への信頼を高める上で不可欠です。 地方議会情報公開推進協会の田中美咲氏(仮名)は「議会における議論のプロセスを積極的に公開することで、誤解や憶測を防ぎ、健全な民主主義の発展に繋げることが重要です」と述べています。
石丸氏と支援者の写真
今後の地方自治体のSNS運用に大きな影響
今回の最高裁判決は、今後の地方自治体のSNS運用に大きな影響を与えるでしょう。地方自治体の首長は、SNSの持つ影響力の大きさを認識し、より一層の責任感と慎重さを持って情報発信を行う必要があります。 また、地方議会は、情報公開を積極的に推進し、市民との信頼関係を構築していくことが求められます。