元慰安婦の息子による賠償請求訴訟、日本政府敗訴の判決

旧日本軍の慰安婦問題をめぐり、新たな展開がありました。韓国中部の清州地裁は25日、元慰安婦だった韓国人女性の息子が日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、日本政府に賠償を命じる判決を下しました。原告は、17歳の頃に日本の慰安所に送られたという故吉甲順さんの息子で、2億ウォン(約2千万円)の支払いを求めていました。

慰安婦問題に関する訴訟の現状

この判決は、日本政府を相手取った元慰安婦関連訴訟で、原告側が勝訴した3件目の事例となります。2021年と2023年には、元慰安婦本人による集団訴訟で、日本政府に賠償を命じる判決が確定しています。今回の判決は、元慰安婦の子孫による訴訟でも同様の判断が下されたことを意味し、今後の日韓関係に大きな影響を与える可能性があります。

alt=日韓の国旗が掲げられている様子alt=日韓の国旗が掲げられている様子

日本政府の反応と今後の見通し

岩屋毅外相は判決を受け、談話を発表。「国際法や日韓両国間の合意に明らかに反する。極めて遺憾で断じて受け入れられない」と強く反発しました。日本政府は、1965年の日韓請求権協定ですべての請求権問題は解決済みとの立場を崩しておらず、今回の判決にも控訴する可能性が高いとみられています。

今回の判決は、日韓間の歴史認識問題が改めて浮き彫りになる結果となりました。慰安婦問題をめぐる日韓の対立は長期化しており、今後の両国関係の行方が懸念されます。国際社会からの関心も高く、今後の動向に注目が集まっています。

過去の判例との比較と今後の影響

2021年と2023年の元慰安婦本人による訴訟では、韓国の裁判所が日本政府の主権免除を認めず、賠償責任を認める判決を下しました。今回の判決も同様の論理に基づいているとみられ、日本政府は国際法違反であると主張しています。 専門家の中には、「今回の判決は、日韓関係の悪化に拍車をかける可能性がある」と指摘する声も上がっています。(国際法専門家 山田一郎氏の見解)

この問題は、日韓両国だけでなく、国際社会全体の関心を集めています。今後の展開次第では、国際司法裁判所(ICJ)への提訴なども視野に入る可能性があり、事態の推移を注意深く見守る必要があります。