メキシコ行方不明者活動家母子、殺害される 闇の「絶滅キャンプ」告発後

メキシコで、行方不明者の権利擁護活動に取り組んでいた母子が殺害されるという痛ましい事件が発生しました。ハリスコ州で活動していたマリア・デル・カルメン・モラレスさん(43)と息子ハイメ・ダニエル・ラミレス・モラレスさん(26)が犠牲となりました。彼らは犯罪組織の拠点とされる「絶滅キャンプ」の存在を告発した活動団体と関わっており、事件との関連性が疑われています。

犯罪組織の拠点「絶滅キャンプ」とは?

モラレスさん親子が関わっていた活動団体は、今年3月、ハリスコ州で人間の遺体が秘密裏に火葬、埋葬されていたとされる牧場施設を発見。「絶滅キャンプ」と呼称し、犯罪組織が構成員候補者を誘い込み、強制的に拘束していた場所と主張しました。

メキシコ・ハリスコ州の検視局職員メキシコ・ハリスコ州の検視局職員

メキシコ当局はこの施設の存在は認めていますが、「絶滅キャンプ」という呼称は使用していません。ハリスコ州検察局は、現時点で事件と母子の活動との関連を示す証拠はないとしながらも、あらゆる可能性を視野に捜査を進めています。

事件の経緯と政府の対応

23日午後11時半頃、オートバイに乗った男2人組がラミレスさんを襲撃。母親のモラレスさんも息子をかばおうとして巻き込まれ、親子共に命を落としました。

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は遺族への支援と事件の徹底捜査を表明。現時点では母子の活動を事件と無関係とするような結論は出せないとしています。

行方不明者活動家への脅威

今回の事件は、ハリスコ州で行方不明者活動家が殺害される事件としては、この1ヶ月で2件目となります。今月2日には、テレサ・ゴンサレスさんが銃撃を受け、その後死亡しました。ゴンサレスさんも前述の「絶滅キャンプ」の調査に関わっており、行方不明の兄弟を探していました。

行方不明者問題の深刻化

ハリスコ州を含むメキシコ各地では、行方不明者問題が深刻化しています。犯罪組織の関与が疑われるケースも多く、活動家たちは危険な状況に置かれています。

専門家の中には「組織犯罪の横行により、人権活動家への脅威が高まっている。政府は彼らの安全を確保するための対策を強化すべきだ」と指摘する声もあります。

今後の捜査の行方

今回の事件は、メキシコ社会における行方不明者問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。今後の捜査の進展と、政府の対応が注目されます。